【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

眞子さま、メトロポリタン美術館に就職か? かつてはタバコ屋で働いた皇女も……知られざるプリンセスの仕事と所得

2022/10/15 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)
眞子さんと小室圭さん(C)Getty Images

 「週刊新潮」(新潮社)10月20日号が、現在ニューヨークで生活する眞子さまについて「就活中」だと報じた。博物館学芸員の資格を生かして、メトロポリタン美術館への就職を見据え始めたという。

 眞子さまは、2021年10月に小室圭さんと結婚。国際弁護士を目指す小室さんは、先日、司法試験に3度目の挑戦をし、その結果は10月25日(現地時間)に明らかになるという。同誌では、現在、法律事務所で法務事務の職に就く小室さんの一方、眞子さまが「本格的な『就活』にも取り組み始めた」と伝えている。

 ネット上では、眞子さまの就職について賛否両論が上がっているが、これまでにも少なくないプリンセスたちが社会で働いてきた。職場のジャンルはさまざまだが、なかでも東京を遠く離れた岡山で、「タバコ屋の看板娘」として働いた異色のプリンセスについて、今回あらためて紹介したい。

 青年実業家と結婚したものの、タバコ屋で働くことになった昭和天皇の第4皇女、順宮厚子(よりのみや・あつこ)内親王の知られざる結婚生活とはーー?


(初出:2021年9月18日)


 皇室が特別な存在であることを日本中が改めて再認識する機会となった、平成から令和への改元。「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます!

昭和天皇の娘が「タバコ屋の看板娘」に!? 青年実業家と結婚したプリンセス、知られざる日常生活の画像1
(C)Getty Images

――このところ、昭和時代の皇女にまつわる結婚事情についてうかがっています。前回は、昭和天皇の第3皇女、和子内親王のスキャンダルだらけだった結婚生活をお話しいただきました。

堀江 今回は、昭和天皇の第4皇女、順宮厚子(よりのみや・あつこ)内親王の結婚生活についてです。1951年(昭和26年)7月、厚子内親王(21)と、池田隆政さん(24)の婚約が発表されると世間は驚きました。池田さんは旧・岡山藩主の家系に嫡男として生まれた方で、世が世なれば「大名家の若様」です。

 しかし、池田さんはこの時すでに青年実業家として成功を収めていました。しかも彼が営んでいるのは牧場で、「皇女が岡山の牧場主に嫁ぐことになった!」ということでより大きなニュースとなったのです。

――牧場主がお相手ですか! 


堀江 厚子さんの父宮である昭和天皇は、池田さんを高く評価していたようですね。昭和天皇も学者として、動植物に興味が深い方でしたから。

 明治維新後の池田家は、居城だった岡山城のお堀の一部を埋め立て、造成した広大な土地を有していました。しかし、その中から1万坪を売って、戦後に課された莫大な財産税を支払わねばなりませんでした。所有権が残った、岡山市内の西北部・京山の斜面にある5,000坪の土地を使って、池田さんは自分の牧場を開くことにしたそうです。

――ムツゴロウさんの動物王国のようですね。

堀江 本当に。珍しい動物の飼育にまで手を伸ばしていたわけではないようですが、51年8月1日号の「アサヒグラフ」(朝日新聞社)によると、牧場にいるのは乳牛4頭、豚25頭、ヤギ12頭、鶏700羽あまり。鶏の卵から生まれた瞬間にヒナの性別を判別するためには経験で得たカンが必要なのですが、池田さんは24歳にして、それを体得していたそうです(笑)。さすが「人間より動物のほうが好きだ」と公言するだけの方ですね。

――趣味と実益を兼ね備えた人生を歩んでおられたのですね。素敵です!

堀江 「アサヒグラフ」のカメラマンが、池田さんをまるで“牧場のプリンス”のように撮影していますね。池田牧場で働く所員は10人、獣医が2人。経営、販売などすべてに池田さんは関わっていたそうです。ご自宅では犬だけでもセッター、シェパード、スピッツ、ポメラニアンなど10数頭を飼い、鳥もお好きで50羽以上飼育。しかも「増産した分は岡山のT百貨店小鳥売り場で」売りさばいて儲けを得ていたとか……。

みんなどきどき動物園(キリン、ゾウ、コアラほか)