【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

眞子さま、メトロポリタン美術館に就職か? かつてはタバコ屋で働いた皇女も……知られざるプリンセスの仕事と所得

2022/10/15 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

厚子さんの両手は「ヒビ、アカギレでいっぱい」

――かつては皇室が功労者をねぎらう目的で贈っていた“恩賜のタバコ”というものがあったそうですね。禁煙ブームで2006年に廃止されてしまったのですが。

堀江 当時、厚子さんが売っていたのは特に菊の御紋が入ったタバコというわけでもなかったのですが、それでも大人気だったのだから面白いものですよね。

 厚子さんは59年4月5日の「週刊読売」でインタビューに応じ、「別に東京が恋しくもありませんので、すっかり住みついてしまったといえましょう」と、「ぽつぽつと言葉少なげに」語っておられます。大変なことといえば、動物相手の仕事なので、池田さんだけでなく、厚子さんも予定が立てづらい生活が続いていたそうです。「タバコ屋の看板娘」以外にも、牧場や動物園の仕事に厚子さんが関わっていた空気が感じられますね。ちなみに厚子さんは歌手の島倉千代子の大ファンでした。

――池田さんとのご夫婦仲はよかったのですか?

堀江 はい。池田さんの厚子さんに接する姿勢は「皇女とて同じ人間」というものでした。ただそれゆえか、動物園内の土産物屋での仕事も、なかなか大変だった模様です。寒い時期の厚子さんの両手は「ヒビ、アカギレでいっぱい」だったとか。冬でも暖房がほぼない状態で、店内には火鉢がひとつあるだけ。しかし、厚子さんが店に立つと売り上げはグンとあがりました。


 59年頃になると、すでに動物園には閑散期である冬の休日1日で5,000人を超える入場者があったそうです。行楽シーズンでは、その倍以上の入場者数を誇りました。それには「厚子さんに会えるかもしれない!」というお客さんもたくさん含まれていたことでしょう。

みんなどきどき動物園(キリン、ゾウ、コアラほか)