【連載】わが子から引き離された母たち

「息子に毎日弁当を届けたい」21歳で結婚・出産した女性が、“わが子と会えない”理由

2021/06/04 16:00
西牟田靖

夫も仕事を、自分も家事や育児を頑張っていた

――少し話を戻して、出産後まもなくのことを教えてください。

 出産するときは、双方の家族が見に来てくれました。生まれてきてくれたのは男の子。出産直後、猛烈にうれしかったし、感動もした。と同時に、「自分にも生まれてきた意味があったんだ」と、しみじみ思ったのを覚えています。

――若いお母さんだったんですね。子どもが生まれたら、夫も頑張ったんじゃないですか?

 仕事をすごく頑張っていました。クレジットカードのシステム構築を担当していて、毎日のように残業したり、休日出勤をこなしたりしていました。

――しっかり稼ごうと、日々頑張っていたんですね。


 買ったばかりのマンションのローン支払いがありましたから。支払いにかなり重圧を感じているようで、「マンションのローンを返さなきゃ。支払いどうしよう」って口癖のように、よく言っていました。

――美樹さんも、家事や育児を頑張ったんじゃないですか?

 私は私で苦手な家事を、家族のためにと思って頑張っていました。たとえば、レタスをシャキッとさせるために、氷水に漬けたりしていたんです。

――丁寧な家事をされていたんですね。ところで、家計の管理はどうされていたんですか?

 月々決まった額を夫からもらって家計を回していましたが、私、金銭管理が苦手なので、「お前には任せられない。俺が金銭を管理しなゃ」と、夫も言っていました。


子どもを連れて、逃げました。