[女性誌速攻レビュー]「LARME」9月号

世界観は『ヴァージン・スーサイズ』!? 「LARME」の真髄は“全然使えない”着回し特集

2016/08/06 19:00
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「LARME 023」(徳間書店)

 さあ今回も、「甘くて、かわいい(はぁと) 女の子のファッション絵本。」こと「LARME」(徳間書店)の最新号レビューをしていきましょう。筆者が今号で最初に驚いたのは、巻頭に掲載されているモデルたちのマイブームを紹介する企画での、中村里砂さん(俳優・中村雅俊さんの三女)27歳のコメント。

「この夏はまたパリに行ったよ(はぁと) 最近お料理をするのが好きで和食をよく作っています。スニーカーを生まれて初めて買ったりもした。楽で感動した…。ピアスを増やしたい気持ちもある(はぁと)」

 コメントの詰め込み具合にも少々びっくりですが、スニーカーを「生まれて初めて買った」という発言にはもっと驚きです! 27歳にして初スニーカー……まさか小学生の頃もヒールやパンプスしか履いていなかったということでしょうか。芸能一家に生まれ、幼い頃からガーリーをストイックに追及してきた姿勢に、素直に感服いたしました。というわけで、そんなガーリーなモデルたちが活躍する誌面を早速のぞいていきましょう!

<トピック>
◎はじめてのヴィンテージレッスン
◎My Favorite Bag & Inside The Bag(私たちの愛用バッグとその中身)
◎PUSSY CAT MAKE-UP(なまいきねこめいく)

■バストトップ、美味しいおっぱい――みんなどこへ行った


 もともと、男ウケは度外視してガーリーをひたすら追及しているとされる「LARME」。しかし前々号あたりから、男性ゲストが初登場してモデルたちと仮想デートをしたり、男性とのお部屋デートを想定した企画で、「バストトップ」や「美味しいおっぱい」などといった過激な言葉が誌面に登場したりするなど、徐々に様子がおかしくなっていました。

 今回はどんな「男ウケ」を紹介してくれるのだろう……とワクワクしながら最新号をくまなくチェックしていったのですが……なんと! 今回、「男ウケ」要素はほとんど登場してこなかったのです!! 前号の「バストトップ」に、各方面からよっぽど強い反発があったのでしょうか。その代わり目を引いたのが、ある有名なアメリカ映画の世界観を模した着回し特集。その映画とは、『ヴァージン・スーサイズ』(1999)。あらすじをかなりざっくりと言いますと、少年たちのあこがれである美人五姉妹(13~17歳)が主人公で、思春期ならではの葛藤を抱きながらも、ラストで前触れもなく自殺してしまうという映画ですよね。

 「LARME」には、有名な映画や文学作品などをモチーフにし、その世界にモデルを登場させるという企画がしばしば掲載されてきました。これまでに『ロリータ』や『変身』などの世界観を独自に解釈して表現した企画などがあり、好評を得ているようです。今回のLARME流『ヴァージン・スーサイズ』は、四女ラックス役だと思われる西もなかさんが、(誌面には登場しない)ある男性へ病的に恋をし、一緒に卒業パーティーを抜け出して結ばれるも、(直接的な表現はまったくありませんが、おそらく)ヤリ捨てされ、先に自殺した末っ子「セシリア」を追うようにして、その他姉妹のいずれかの役と思われる松野莉奈さん、斎藤みらいさんとともに心中する……というストーリーをメランコリックな雰囲気で表現していました。

『LARME(ラルム)023 2016年9月号』