サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「steady.」が物語るアラサーの負い目 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「steady.」10月号 アラサーのくせに独身子なし……「steady.」ファッションの根底にある“負い目”の正体 2014/09/24 21:00 女性誌速攻レビューsteady. ■「誰かのために」にならざるを得ない背景 そんな今月号の読み物ページには、「彼がいない、結婚できない、子供がいない……満足できない! 私たちに足りないもの何ですか?」という切実な企画が。「仕事も趣味も充実しているはずなのに、満たされない私。これって私に問題があるの?私に足りないものがあるの?」と、不安げなコピーが踊っています。 この企画には、「彼氏が欲しいけどできない」Aさん、「彼氏と結婚したいのにできない」Bさん、「子どもが欲しいのにできない」Cさんという3人の女性が登場。Aさんは、結婚を匂わせすぎて彼氏と別れ、その後出会いには積極的なものの、男性に出会うと肩書チェックにいそしんでしまうそう。Bさんは3つ年下の男性と付き合い始め、結婚を匂わせているものの、彼氏にその気はまったくなし。Cさんは結婚して3年たっても子どもができず、気が付けばセックスレスなんだとか。 彼女たちの悩みを見ていると、それぞれ何かが「足りない」のではなく、「彼氏ができない」「結婚できない」「子どもができない」と、自分1人では解決できないことばかりだということに気が付きます。これはつまり、アラサー女性たちの幸せが、1人では実現できないということを暗に示しているのではないでしょうか。確かにそれでは、「誰かのため」にもならざるを得ません。 そのため「steady.」は、表面だけを見ていれば華やかな女性ファッション誌ですが、よくよく読み込んでみると、「自分自身が楽しいと思える」ファッションページが圧倒的に少ない。アラサー独身女性が、いかに人目を気にし、自意識過剰な社会に生きているかが透けて見えてきて、なんとなくどんよりしてくるのです。 ただそんな中にも、「人にどう見られるか」といった視点が一切ないページも存在します。今月号の「“2個持ち”前提で考える最新ミニバッグ」はまさにそれでしょう。「ミニバッグの可愛さに萌える」「けど、大きなものはサブバッグに入れたい」という願望から、2つのバッグの組み合わせを考えようという内容なのですが、これには可愛い物を持ちたいというストレートな女の欲求が感じられ、筆者も読み入ってしまいました。 もっとこういうページが増えればいいのに……と思いつつ、こうした「自分が楽しい」ことだけを追求する雑誌は共感を呼べないのでしょう。アラサー独身女性が、結婚や妊娠・出産において置いていかれる不安を感じてしまう社会が、「steady.」を作り上げているのかもしれません。 (芦沢芳子) 前のページ12 最終更新:2014/09/24 21:00 Amazon 『Steady.(ステディ)2014年 10月号 [雑誌]』 己の欲望の赴くまま、ジャニーズにハマると楽になれるよ 関連記事 「女子アナで親が高橋英樹」を人生のデメリットとして語る、高橋真麻と「steady.」の親和性「結婚していただく」という価値観から脱せない? 「steady.」読者の苦々しい結婚観「steady.」読者を結婚から遠ざける、「男を追い詰めるべからず」という教訓OLの平均給与に見た、ダサいとの呼び声高い「steady.」ファッションの存在意義「steady.」の“痛いお局OLエピソード”が満たす、アラサー女子の欲望とは? 次の記事 関ジャニ・横山、彼女と「別れた」? >