サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「steady.」痛いお局企画の意図とは? カルチャー [女性誌速攻レビュー]「steady.」8月号 「steady.」の“痛いお局OLエピソード”が満たす、アラサー女子の欲望とは? 2014/07/23 21:00 女性誌速攻レビューsteady. 「steady.」2014年8月号(宝島社) ずっと思っていたんですが、「steady.」(宝島社)は、全体のページ数の割に、“マネー”を取り扱うページの割合が非常に多い。今月号なんて、「あなたの保険OK?NG?採点表」という記事がカラーで4ページ、毎月の連載の「教えて!お金のコト」が1ページ、「ボーナス貯蓄(はーと)活用術」というページが4ページと、合計9ページもありました。なぜ「steady.」はお金に力をかけるのか? 大きな疑問です。 <トピック> ◎あなたの保険OK?NG?採点表 ◎ボーナス貯蓄(はーと)活用術 ◎まさか、私って「お局」!? ■アラサーOLは夢見がち? 「あなたの保険OK?NG?採点表」見てみると、シングル、既婚共働き、既婚専業主婦という3つのライフステージ別で、「あなたに必要な保障はコレ」と紹介。また、「収入が少ないから保険料を払いたくない」「健康に自信があるからまだ保険はいらないと思っている」「勧められるまま、よくわからない保険に入っている」のはNGなどと、保険のCMさながらに煽ってきます。一応、これは広告ページなのかと思って隅から隅まで見ましたが、どうやらそうでもない様子。前後に広告も入っていないので、編集部が「これは必要だ」と思って採用された企画なのでしょう。 また、「ボーナス貯蓄(はーと)活用術」は、季節柄納得できる企画なのですが、ダメ出しが強烈! 例えば、「無計画な出費は絶対にNG」「1つだけならが落とし穴」「カード払い=借金をキモに命じて」「予定外の買い物は単なる浪費!」「残金は貯金じゃない!」「緊急時にお金がないは最悪」などなどのお説教が終わったと思ったら、最終的なアドバイスとして「ボーナスの70%を貯蓄するのが理想的」ときました。 そしてこの特集の最後には、ちゃっかり貯蓄して投資ガールになろうという企画や、FXやドル預金、株、インデックス・ファンドなどを始めた人のQ&Aも載っています。しかし「steady.」の記事を読んだくらいで手を出すには危険な分野では? という気がするし、ボーナスを貯蓄するページに無理やりねじ込んでくるのも、難易度が高すぎる。 ここまでマネー企画に力を入れるのは、読者からの評判がいいのかもしれませんが、ほかの女性ファッション誌と比べても、マネーの比重が高いのは確か。「今の若い子は、先走って心配ばかりして何もできなくなる」とはよく聞きますが、「steady.」にもそれは当てはまるかもしれません。まだ恋愛もしていないのに、「子どもがほしい」「結婚がしたい」という目標だけがはっきりしているとでもいいましょうか。 国税庁の「平成24年民間給与実態統計調査」を見ると、20~30代女性の平均年収は300万円足らずであるし、非正規雇用が占める割合も50%程度。だとしたら、「steady.」読者にちゃんとボーナスをもらっている人がどれだけいるかも疑問です。今月号のマネー企画からは、一見地に足がついているようで、その実まったく足元が見えていないアラサーOLの姿を垣間見ました。 ■“女”か否かで語られるお局 「まさか、私って『お局』!?」という読み物ページを見ていきましょう。隠れ「お局」の座談会では、冒頭から「私たちが新入社員の頃にお局だと思ってた先輩って、実は30代だったって、最近気がついちゃった」という嘆きから始まります。 そんな隠れお局が、「これこそお局だと思う行動」は、イケメン社員がいる時といない時では態度が違う、褒めてほしそうに若い頃モテた話をする……など。確かに、「若い頃のモテた話をする先輩の話」は、筆者の周りでも本当によく聞きます。でもよくよく考えると、それって、仕事上の話ではなく、“女”としての話では? 「お局伝説エピソード」でも、「イケメン好きなチーフがアラフィフなのに毎日ミニスカ」とか「自分が乾いてるから、人の恋バナに食いつく」など、やはりお局が「女」であるか否かといったネタが多かったです。仕事が関係ないのであれば、それは単に「オバさん」になりたくないということ。「女として、こうはなりたくないなー」という話をしているだけです。これもまた「先回りして不安になる」現象に似たものかもしれません。 筆者は、これからメーカーに入社するという女子大生が、まだ内定が出たばかりにもかかわらず、「私って、年上の女性に目をつけられやすいから、お局さまに嫌われないか心配」と言っているのを聞き、まるで「お局さまは、自分の若さや男性社員にチヤホヤされることを嫉妬して、仕事に関係ないのにいじめてくる」とでも言いたげだなと感じたことがあります。まだ起こってもないことを心配してもどうにもならないけれど、実はそうすることで自尊心を満たしている。そんなアラサー女子の隠れた欲望を満たしている「steady.」のことを、あなどれないとも思ってしまいました。 (芦沢芳子) 最終更新:2014/07/23 21:00 Amazon 『Steady.(ステディ) 2014年 08月号 [雑誌]』 ただドヤるにも試行錯誤だらけのアラサー 関連記事 「結婚していただく」という価値観から脱せない? 「steady.」読者の苦々しい結婚観「steady.」読者の不安げな表情に見る、アラサー世代の「私たちには何もない」感自分を磨いて待ってます――「steady.」の新理想像「可愛い大人OL」が怖い!上から目線に弱い「steady.」が、悩み相談の相手に“子役”を召喚!?起用モデルや誌面作りから漂う......「steady.」は女性誌界の田中みな実! 次の記事 Jr.森田、妊娠中絶・飲酒報道 >