サイゾーウーマンコラム水谷豊が右京さんになる前 コラム 佃野デボラの「味コン」!! 水谷豊が『相棒』の杉下右京になる、はるか前……トンチキ青春映画で演じた“汗臭い童貞”役の魅力とは? 2023/05/04 16:00 佃野デボラ(ライター) 佃野デボラの「味コン」!! エンタメ批評界の「ひとり隙間産業」佃野デボラが、見逃せない“味”なコンテンツ、略して「味コン」をプレゼンする不定期連載(※このコラムはネタバレを含みます)。 『熱中時代』『傷だらけの天使』なども有名だが……(C)サイゾーウーマン 【今回の「味コン」!!】 『相棒』“右京さん”の五十余年前、18歳の水谷豊がボンクラ童貞野郎を演じた『新・高校生ブルース』 今年3月、『相棒 season21』(テレビ朝日系)が好評のうちに幕を閉じた。2000年のシリーズ開始から23年もの間続くこの人気作品の効果で、水谷豊=「杉下右京」というイメージを抱く視聴者は多い。 一方、筆者のような昭和のテレビっ子からすると『熱中時代・教師編』シリーズ(1978〜89年/日本テレビ系)の「北野先生」が強く印象に残る。また、各社から配信され、いまだに根強い人気を誇る『傷だらけの天使』(74~75年/日本テレビ系)で水谷が演じた、主人公・修(萩原健一)の舎弟「亨(アキラ)」を愛するファンも少なくないだろう。 とりもなおさず、俳優・水谷豊にとって74年、78年、そして00年は、長年世間から愛される「当たり役」に出会った重要年ということになるが、その少し以前、ブレーク前夜の70年も彼にとって枢要な年であったという説を、筆者は唱えたい。 『マグマ大使』第9話(66~67年/フジテレビ系)にて14歳でドラマデビューを果たし、『青春の海』(67年)で映画デビューを飾った水谷。そこから数年の間は、オーディションで勝ち取った初主演作『バンパイヤ』(68~69年/フジテレビ系)を除けば、鳴かず飛ばずの日々が続いた。今回は、そんな水谷が70年、18歳の時に出演して爪痕を残した……かもしれない映画『新・高校生ブルース』を紹介したい。 本作は、主人公の椎名(内田喜郎)と、その幼なじみの京子(関根恵子/現・高橋惠子)を中心に、高校生の性と恋を描いたトンチキ青春映画である。水谷が演じる「おかちん」こと岡田は、「しい公」こと椎名、和島(菅野直行)とともに仲良し童貞トリオを組んでいる。街角でのナンパ作戦は失敗に終わり、女性への劣情と、優等生面して“やることやってる”キザなクラスメイト・館山(木下清)へのひがみをたぎらせる3人は、学園祭までに童貞を捨てるという約束を交わし、「フラレタリア同盟」を結成する。 次のページ 水谷豊の原点(?)、汗臭い童貞高校生「おかちん」役 123次のページ 関連記事 『夕暮れに、手をつなぐ』脚本家・北川悦吏子の過去作『ロンバケ』を伝説の「企画書」とともに味わう『夕暮れに、手をつなぐ』、北川悦吏子作品あるあるを徹底解説――令和とは思えない“昔懐かしさ”の正体石田純一&いしだ壱成親子の初共演映画が“匂う”――ビッグマウス&計画性のなさが際立つ怪作の予感千鳥、かまいたちら「お笑いエリート」を輩出! 関西の“なぜか長寿番組”トミーズの『せやねん!』をホメゴロス近藤真彦と中森明菜、元カップルがそれぞれ再始動! いま振り返る2人の“いわくつき”共演映画