サイゾーウーマンコラム“中学受験”に見る親と子の姿元“全落ち”中学受験生の進路 コラム “中学受験”に見る親と子の姿 中学受験全落ちで公立に進学、難関大合格後も続く“悪夢”――彼が選んだ就職先とは? 2023/02/11 16:00 鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー) コラム 中学受験塾の祝賀会にも行けず……虚しさを抱えたまま過ごした高校時代 結局、彼は地元公立中学に進学した。 「塾の祝勝会にも当然、行けませんでしたし、公立中でも『なんで、オマエ、ここいるの?』って言われているようで肩身が狭かったですね……。しかも、Z学園は僕の家から近くなので、そこの生徒をよく目にするんですよ。それも、結構メンタルにきました」 救いは、受験勉強のアドバンテージがあったようで、公立中学では、そこまで苦労せずとも、常にトップクラスにいられたことだという。 「まあ、ほどほどに部活も楽しんで、高校受験の塾にも行って……結果的に、推薦で学区トップと言われる高校へも入ることができました。でも、何ですかね……何やっても、虚しさが抜けないっていうか。うまく説明できないですけど」 その虚しさを抱えたまま高校生活に突入したという英太君。折に触れて「全落ち」という結果に終わった中学受験のことを思い出す日々を過ごした。 「夢に出るんですよ。合格者の掲示板を前に、自分の番号を探すんですけど、前後の番号はあるのに、自分のだけがないっていう夢。どこだ? どこだ? ってずっと探している夢です。もちろん、いつまでもそんなことに囚われていても仕方ないことだってわかっています。だから絶対、Z学園の奴らよりもいい大学に入ってやる! と思って、大学受験の予備校にも真面目に通っていました」 努力が実り、現役で見事、難関大学の切符を手にした英太君。ようやく、中学受験の呪縛から離れられると思ったそうだが、悪夢はその後も続いているそうだ。 「就活を前に、いろいろ考えました。僕はなぜ、中学受験で不合格しか手にできなかった自分を、ずっと気にしているんだろう? って。それで、ある結論に達したんです。これは“忘れ物”なんじゃないかって。この“忘れ物”を取りに行くには、どうしたらいいのかって。そう考えて、自分の進路を決断したわけです」 英太君の選んだ道はこれだった。 次のページ 中学受験で全落ちの大学生が決意「“忘れ物”を取り戻しにいく」 前のページ123次のページ 楽天 中学受験を考えたらまず読む本 2023年版 関連記事 中学受験「第1志望校の不合格」を我が子にどう伝えるか? 合否発表でパニックになった母は、塾に電話を……中学受験、憧れの第1志望に連続不合格――「入試の日に初めて行った」1月校に入学した親子の話中学受験、「最後の合不合」がトレンド入り――最終模試の結果で“第1志望を捨てた”母が「たられば」に苦しむワケ娘の中学受験で「入学金振り込みミス」――デジタルに不慣れな母の“血の気が引いた”瞬間中学受験塾の室長が明かす、「モンスタークレーマー」の実態……「医学部狙い」の父親が暴走