サイゾーウーマンコラム『おちょやん』灯子目線で見る不倫妊娠劇 コラム 『おちょやん』解説 『おちょやん』灯子は非常に「したたか」!? 実在の九重京子“目線”で見る、史実の不倫妊娠劇 2021/04/26 12:30 堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト) コラム 現在放送中のNHK連続テレビ小説『おちょやん』。ヒロインの千代は、喜劇女優の浪花千栄子さんをモデルとしていて、夫の天海一平も劇作家の渋谷天外が元となっています。そんなドラマの登場人物の“本当の話”を、『あたらしい「源氏物語」の教科書』(イースト・プレス)などの著作を持つ歴史エッセイストの堀江宏樹氏が解説! NHK『おちょやん』公式サイトより 灯子こと九重京子から見た不倫劇 一平・千代夫妻の離婚によって、ますます大変なことになってしまった『おちょやん』。前回までは千代のモデル、浪花千栄子の目線から、天海一平こと渋谷天外の不倫騒動を見てきましたが、今回は浪花から渋谷を奪った側、つまり問題の新人女優・朝比奈灯子(実在の女優・九重京子がモデル)の側から見た不倫劇の物語です。 「松竹新喜劇」の看板俳優にして脚本家。舞台がハネれば酒、バクチ、女……千代いわく「男をおかしくする」3つの要素すべてに耽溺する生活を送っていたのが、渋谷天外でした。 妻・浪花千栄子は、「役者の女房」として、耐える一方の日々だったと主張していますが、渋谷は晩年、主治医だった松本謙二医師に「気の強い女だけは絶対やめときなはれ、後でもめる(=揉める)」と、妻選びのアドバイスをしています。 これは浪花千栄子への当てつけですね。それでは浪花の次に渋谷の妻となった九重京子にとって、渋谷と浪花の夫婦はどう見えていたのでしょう? その話の前に、九重京子こと、渋谷喜久恵の人生を振り返ってみることにします。 喜久恵は大正10年10月1日、大阪市生まれ。母の仕事は産婆で、意中の男性との結婚を反対されたので、相手の子供だけ妊娠して、それでサヨナラするという、当時としてはなかなか大胆な選択をした女性だったそうです。そしてこの時に生まれ、シングルマザーの家庭で育ったのが、喜久恵でした。 小学校卒業後の喜久恵は、名門・宝塚音楽歌劇学校に入ることになりました。しかし、大阪市内の自宅からは通うのに遠すぎるという理由で、宝塚を退学、大阪松竹歌劇団(OSK)で学び直すことになります。 OSKも宝塚と同じように女性だけの劇団で、当時は「洋舞のOSK、日舞の宝塚」などと並び称されていたそうです。戦後の宝塚にはヨーロッパを舞台にした『ベルばら』などの作品で大人気を得たイメージがありますから、「日舞の宝塚」という戦前の評価は興味深いものです。 そしてOSKの男役女優としてデビューしたときの芸名が、九重京子です。昭和22年にOSKを退団した後も松竹芸能に所属し続けたので、芸名はそのままでした。 次のページ 第一印象は「着物、袴で薄汚れた人」 12345次のページ 楽天 泣き笑いのエピソード 関連記事 『おちょやん』成田凌演じる「天海天海」の史実がひどすぎる! 不倫妊娠だけじゃないヒロインへの裏切り『おちょやん』浪花千栄子のリアル人生は「汚点」だらけ!? NHK朝ドラ化は「不可能」なワケ朝ドラ『おちょやん』、原作NGになった「ヤバすぎる」ストーリーとは!? NHKヒロインの「ドス黒い」人生『おちょやん』井川遥演じた「女優・高城百合子」の事実にびっくり! ドラマでは描けない悲劇の亡命NHK『おちょやん』、篠原涼子の女将は「異常者」だった!? 本当は怖い“芝居茶屋”の児童虐待ぶり