“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験生の娘を援護射撃したい! 第1志望校の「全ての説明会と学校行事」に通った母の努力は報われたのか?

2020/11/29 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

学校説明会のアンケートには、名前を書いて熱い思いをつづった

 洋子さん(仮名)と藍ちゃん(仮名)母娘はV女学園をとても気に入り、小5の段階で、早くも第1志望校にしていたという。一方で、洋子さん自身は他校も含めて、偏差値の上下は考えず、通学できる範囲内の学校説明会には足繁く通っていたそうだ。

「偏差値とか大学合格実績という先入観を捨てて、娘に合う学校をと、いろいろな学校を見て回ったのですが、『やはりV女しかない!』って気持ちは募る一方でした。ただ、娘の成績は思うようには上がらず、模試の判定は、V女にはいま一歩届かないという数字が続いていたんです。そこで、どうしたら娘を援護射撃できるのかを考えて、とにかく、V女が公開している全ての学校行事に娘を連れて行きましたし、学校説明会には私が全部参加して、そこで配られるアンケートには必ず名前を書いて、熱い思いをつづってきたのです」

 V女学園はいわゆる中堅校に属しているのであるが、上位校の併願に選ばれることの多い歴史と伝統がある人気校。決して簡単に入れるような学校ではない。

 実際、近年では上位校で不合格になっている子たちの受け皿にもなっているので、藍ちゃんのように第1志望の子が不利になることもないとはいえないのだ。

 そうこうしているうちに、いよいよ、藍ちゃんの入試本番が始まった。V女学園の入試のチャンスは3回。ところが、藍ちゃんは健闘虚しく、3回とも不合格になってしまったという。


 「V女に恋焦がれている娘を落として、こともあろうにV女を小バカにしていた花音ちゃん(仮名)が合格して、進学することを決めたって知った時には、本当に悲しかったです。花音ちゃんママが『一度も行ったことがない学校に行く羽目になって……』と言っているのを、偶然耳にしちゃって。『それなら、ウチにその権利を譲ってよ! ウチはV女命でやってきたのに!』って涙が止まらなかったです」 と洋子さんは当時の悔しさを振り返ってくれた。

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