サイゾーウーマンコラムフランス女性はステイタスを「腹」でアピール!? 貴婦人の“戦闘服”、知られざるファッション事情【ヴェルサイユの女たち】 コラム 【番外編】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!! フランス女性はステイタスを「腹」でアピール!? 貴婦人の“戦闘服”、知られざるファッション事情【ヴェルサイユの女たち】 2020/11/07 17:00 堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト) 日本のアウト皇室史 マリーアントワネットはオタク気質で数学好き ――そんな危険を犯してまで化粧をしていたのですね……。怖い。 堀江 20世紀になるまで、その手の明らかに危ない成分を化粧の材料として使ってはいけないという薬事法はありませんでしたから。そして、こういう白粉は厚く塗るか、薄く塗るかくらいしかチョイスがなく、メイクのテクニックも何もないのです。だから、化粧師として独立した仕事はないのですわ。 ――それはラクでいいなと思ってしまいました(笑)。マリー・アントワネットをはじめ、多くの貴婦人たちは莫大な金額を投じ、自らの美しさを演出しようとしていたのですよね? その手の分野へのアントワネット王妃の浪費は一種の伝説になっていますから……。 堀江 ちなみにアントワネットの浪費が、当時のフランスの国家予算に占めた割合は最大で1%。フランス王国を某・物置のCMに例えると(笑)、アントワネットが100人乗ったらさすがに大丈夫ではないのだけれど、その数字は想像よりずいぶん少なかったという人もいるでしょうね。 ――でも、お化粧にそこまでお金は使ってなさそうですし、美しさに浪費しようにも使いみちがなさそうな……。残るは、ファッションですか? 堀江 アントワネットのドレスはヨーロッパ中の上流階級にとって、憧れでした。18世紀後半、ドレスのデザイン見本を着せられ、各地に送り込まれたマネキン人形は、「パンドラ」と呼ばれていましたけれど、それがアントワネットに似せて作られたものだったのです。文字通りのファッション・アイコンですよね。 そんな彼女の存在はフランス王国のブランド・イメージを決定づける宣伝塔で、宣伝費が国家予算の1%と考えれば、むしろ優秀ではないかとも考えられるのです。一方、国家予算の1%も「キレイになるため」使ってしまうアントワネットは、ファッション・マニアの度が過ぎていると考える人もいて当然ではありますが。 ――ファッション・アイコンですか。もし化粧品やメイクテクがいろいろあったら、そっちのオタクになっていたかも。 堀江 実はアントワネットはメカニックな時計が好きだったり、オタク気質の女性ではありました。意外でしょうけど、数学が好きで、フランス王妃になってからも3人も数学者を雇っていましたし。 でも彼女がいくら出費したくても、当時の化粧品の水準はしれていますからね。しかし、そういうところに、現代日本の進んだ化粧技術をもった誰かが現れたとしたら……と発想したストーリーが、僕が原案・監修を務めている『ラ・マキユーズ ヴェルサイユの化粧師』です。 ――ファッションとメイクときたら、ヘアスタイルが気になりますね。どんな髪形がヴェルサイユではやったのですか? 堀江 そうですね。アントワネットのヘアスタイルで有名なのが、戦艦のミニチュアを頭に載せた「ア・ラ・ベル・プル(美しきメンドリ風)」という髪形ではないでしょうか。 特殊な髪型をイベントやパーティのたびに披露したアントワネット王妃の毛髪や頭皮は傷み、抜け毛に苦しめられることになる Inconnu (estampe XVIIIe siècle), パブリック・ドメイン, via Wikimedia Commons こちらを考案したのが、天才ヘアメイクアップ・アーティストのレオナール・オーティエという人物で、『ラ・マキユーズ』にも登場します。史実では、3人いた兄弟と共同で活動していたようですね。 アイデアマンの天才ヘアメイクアップ・アーティストだが、ちょっと変な人として描かれるレオナール 次のページ 貴族の女は腹で勝負! ドレスの腹部で競い合う 前のページ1234次のページ 楽天 ラ・マキユーズ〜ヴェルサイユの化粧師〜 1 関連記事 妃殿下、「革ジャン」着用で大問題に! 皇室儀式に「あんなモノを着て!」と女官大激怒【日本のアウト皇室史】寵愛した“巨根”男性を天皇に!? 公私混同で国民総スカンの「嫌われ女帝」とは【日本のアウト皇室史】天皇に寵愛された、いわくつきの“養女”――66歳と18歳の知られざる関係【日本のアウト皇室史】皇族の知られざる素顔――48歳年下の養女に手を出すトンデモ天皇がいた!? 【日本のアウト皇室史】勉強しすぎは女の価値を下げる!? 妃殿下、“お嬢様教育”の仰天実態は「高校を寿退学」がステイタス