[女性誌速攻レビュー]「ar」6・7月号

「ar」ワキ汗が許されるのは「キレイな女性」だけ!? 男の勝手な言い分にイラつく「カラダ悩み特集」

2020/06/06 16:00
島本有紀子(ライター)

山崎賢人が好きすぎる編集長

 次に見ていくのは、編集部スタッフがおすすめするカルチャーを紹介するページ「心震わす私のカルチャー」。同誌を作っている方々を形成したカルチャーが知れるという、マニア垂涎の企画です。

 編集長は「私が好きな山崎賢人出演作」「ビジネス書が苦手な私でも納得した20代にもおすすめのビジネス書」「人生を変えた小説のフレーズ」の、それぞれのベスト3を挙げています。編集長、山崎賢人推しだったんだ……という発見もありつつ(なお第1位は映画『キングダム』とのこと)、最も興味を引かれたのは「人生を変えた小説のフレーズ」でした。第1位はよしもとばななの短編『デッドエンドの恋人』(文藝春秋)の一節で、「今ならわかる。最低の設定の中で、その時私は最高の幸せの中にいたんだということが。」。この時期に共感を呼ぶフレーズかもしれません。また3位は、三浦しをんの小説『舟を編む』(光文社)の一節「だれかの情熱に、情熱で応えること」は、「ar」作りの心意気にそのままつながっているのだろうかと想像できました。

 また「ドメス」「グジョつき」など、独特な「ar」語の生みの親である編集者が紹介していたのは、「光フェチなんで…心は晴れ写真集&本」ベスト3。謎のジャンル分けです。第1位はLA拠点の写真家ヘンリック・プリエンヌの作品集『Holiday』。「女性の濡れた肌や髪を楽しめる」写真集だそうで、「濡れ髪タオルの巻き方や部屋着の参考にもしてる」とのこと。日本では手に入りにくく、高値で取引されている(註:amazonでは約3万円~20万円の値が付いている)という同作が部屋着の参考書とは……さすが「ドメス」「グジョつき」を思いつく編集者です。

 ほかにも編集者による「原稿がはかどるBGM」「辻仁成の小説」「ジョジョの名台詞」「まぶしすぎるスポーツ映画」「OVER30韓国俳優」などが次々と紹介されていきます。これらのコンテンツを消費していくだけで、「ar」マインドが身につき、お家時間はあっという間に過ぎ去りそうです。

ar(アール)