[短期連載]天理教のツマ、「宗教合宿」2泊3日潜入記【番外編・おぢばがえり】

天理教、22万人の信者が集う「おぢばがえり」に潜入! 「祭りじゃない祭り」の目的は

2018/08/22 21:00

天理教の集客力は、GLAY超え!?

 会場を出ると、いつの間にか空は西日。ここでオリエンテーリングは終了となりますが、本番はこれから。夜は、参加者やスタッフなど総勢何万人が本部参道(のような場所)で見物するパレードが行われるのです。パレード時間前に続々とひとが集まるその規模は、目視で明治神宮花火大会並みでしょうか。

 夜、いよいよパレード開始、の前に、おつとめの時間です。シーンと静まり返ったかと思うと、あの歌が低く響きます。あかりは灯篭の灯りだけ、といったほの暗さのなか、荘厳に響き渡る何万人もの天理教信者たちの神への祈りは、信者ではない近所の子どもたちの目にはどう映っているのでしょうか。

天理教、22万人の信者が集う「おぢばがえり」に潜入! 「祭りじゃない祭り」の目的はの画像15 おつとめが終わると一転、

「パレードのはじまりでぇす!」

 と、司会者の景気の良い声がマイク越しに響くと、頭上でドッカンドッカンと花火が上がり、参加者のボルテージはマックスに。


 そうして参道(?)の入り口から続々とパレードがやってくるのですが、これまで想像していた「てきとうな着ぐるみがわらわら手を振ったり練り歩く」を根底から覆してきたのが、先頭を歩く天理教校学園高等学校のマーチングバンド。え、プロ!? プロなの!? 一糸乱れぬ行進と純度の高い演奏に、またしても鳥肌ゾクゾク。今すぐにでも自衛隊音楽隊に入隊できそうです。

天理教、22万人の信者が集う「おぢばがえり」に潜入! 「祭りじゃない祭り」の目的はの画像16 彼らに、エレクトリカルカーや各県や地域で結成された鼓笛隊、チアリーダーが続き、

天理教、22万人の信者が集う「おぢばがえり」に潜入! 「祭りじゃない祭り」の目的はの画像17 1時間ほどでパレードは終了となります。

 すごいのが、これ、10日間毎日やっていること。普通のお祭りは1〜2日が関の山じゃないですか。朝から晩まで、このクオリティをぶっ続けて、今年は公式発表によると22万1098人の参加者がいたようです。これは、日本音楽史上伝説として語り継がれる、1999年7月31日に行われたGLAY EXPO '99 SURVIVAL、通称「GLAYの20万人ライブ」に匹敵する数です。伝説と同レベル、すごい。

天理教「おぢばがえり」の真の目的は……

 さてその後、詰所(各地域ごとの宿泊施設のような場所)に1泊するのですが、小学生たちは寝ません。夏休みの子どもの本領発揮です。夜中まで騒ぎまくる彼らを、義弟が「早く寝ろ!」と叱りに行くと。


「いやだ! だって、俺のおぢばがえりはこれが最後なんだよ!」

 甥の、悲痛な叫び。そう、信者の息子である甥は、来年からはひのきしんに参加しなくてはなりません。中学生になったらお茶汲みして、高校生、大学生、新社会人あたりまではスタッフ側にまわり、さらに自身が子どもを持つと、次は引率係として、近所の子ども10人中1人くらい入信してくれたら万々歳。と、こうして脈々と天理教精神を受け継いでいくのが、「こどもおぢばがえり」の真の目的なのではないでしょうか。

 時流と真っ向から相対する精神を、マイペースに継承し続ける天理教。そうした精神が根付いているがゆえ、近年起こった大阪地震や西日本豪雨に、われさきにと見返り求めずボランティアに向かう信者がたくさんいます。あの有名なスーパーボランティアじいちゃんだけが、崇められる存在ではないのです。天理教の人たちは、もっと昔から、ずっとずっと頑張っているんだから! みんな! もっと褒めてあげて!

 一方、やっぱりクーラーの効いた部屋でスーファミをやっていたい子どもだったわたしは、1年に1回だけそのボランティア精神に触れ我が身を省みるくらいでちょうどいい、と思うのでありました。

(文・有屋町はる)

(おわり)

 


<「天理教のツマ、『宗教合宿』2泊3日潜入記」バックナンバー>

■(第1話)夫の実家は「天理教」!? 
■(第2話)「宗教都市」はディズニーランド!?
■(第3話)喜捨精神、奉仕の心、“宗教あるある”に翻弄された私
■(第4話)“天理教ド素人”の私が、たった2日で「仕上がった」!?
■(第5話)天理教「潜入」2泊3日、“私”の信心が「急激に冷めたワケ」

最終更新:2019/08/20 15:27
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なんか…わりと楽しそう!