仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

太田光、セクハラ問題めぐる「オンナを使うのは男社会へのカウンター」発言がズレているワケ

2018/04/26 21:00

男性だろうと女性だろうと……

 爆笑問題の太田光も、どこかずれている。『JUNK爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)で、「記者っていうのはスクープを取るために、オンナを武器にすることだってしたたかにやっていいと思う。それは男社会に対するカウンターだからね」といった発言をしていた。

 カウンターとは、相手のパンチを片手で止めて、相手が構える前に、反対の手で打ち返すことを指すそうだ。カウンターパンチを食らった側は、ダメージが大きいらしい。

 女性がオンナを使って仕事をとることを、太田は“カウンターパンチ“というが、パンチを食らった側である権力者の男性は、情報を少し与えておけば、性的な見返りが得られるのだから、痛くないどころか、おいしいことにお気づきだろうか。しかし、一方で弱い立場にある女性はというと、それから常にオンナを使うことを求められる可能性があるし、それが伝統として次世代の女性記者の間に受け継がれる。痛い目に遭うのは弱者の位置にいる女性で、太田の理論は破綻している。太田は女性を持ち上げるふりをして、「仕事なんだから、しょうがない」という昭和のオジサン的価値観を持っているのではないだろうか。

 太田は「問題は、日本の政治家に特に重要なポジションについている政治家に、男ばっかりっていう、そこが問題なわけで」と結論づけていたが、男性政治家が多いことと、今回のセクハラは関係ない。男性だろうと女性だろうと、権力を持つ側が職権を利用して性的な見返りを求めることをしてはいけないだけである。

 セクハラになると途端に話がかみ合わなくなるこの感じ……ストップセクハラ運動は、一部の男性にとっては、出世することで手に入れたちんこの既得権、もしくは治外法権を脅かされる行為だと感じるからかもしれない。


仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2018/04/26 21:00
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山口達也の事件にも通ずる話だよね