サイゾーウーマンカルチャーインタビュー「産後クライシス」を生む原因とは? カルチャー 東京未来大学准教授・小谷博子氏インタビュー 育児の温度差が「産後クライシス」を生む? 専門家に聞いた、夫を男脳から「父親脳」にする方法 2018/04/30 18:00 出産インタビュー育児 Photo by Tatsuo Yamashita from Flickr 出産を機に夫婦関係が急激に冷え込んでしまうことを「産後クライシス」と呼ぶ。もともとこの言葉は、2012年9月放送の『あさイチ』(NHK)によって紹介された造語だ。同番組で、産後クライシスは「妻の出産から子どもが2歳ぐらいまでの間に起きる現象」と定義している。 それを裏付けるかのように、夫婦間の離婚率は、実はこの時期が最も高い。厚生労働省が11年に発表した「全国母子世帯等調査結果報告」によると、夫婦が離婚した時の末の子どもの年齢は0〜2歳が最も多く、その割合は全体の35.1%にも上る。 幸せなはずの子育て期に、離婚に至るまで夫婦仲が引き裂かれてしまうのは、なぜなのだろうか? ■産後、夫への拒絶感が増す妻たち 育児工学を専門とする東京未来大学准教授の小谷博子氏は「出産後、妻が夫に愛情を感じられなくなるのは、ホルモンの影響も考えられます」と話す。 「妊娠・子育て中の女性の脳は、ホルモンの洪水に見舞われて、大きく変化します。たとえば、妊娠中から上昇するプロラクチンというホルモンは、動物を勇敢にしたり、敵対感情を引き起こしたりする作用があることが、ラットを使った実験で明らかになっています」 プロラクチンは血液中で母乳生成を促すホルモンだが、わが子を外敵から守るために、母親を果敢にさせているとも考えられるという。 「本来、夫は一緒に子どもを育てる同志なのですが、妻から“敵認定”されると“外から雑菌を持ち帰ってくる存在”となり、嫌悪感を抱かれるようになります」 これまで、小谷氏は多くの母親にヒアリング調査を行ってきたが、子どもを育てる女性からは「産後は夫に近寄られるだけでもイヤだ」「夫がいなくても子どもがいれば幸せ」といった声が寄せられたという。 また、小谷氏によると「プロラクチンは性欲を減退させる作用もある」とのこと。産後はセックスレスになりやすいというが、こうしたホルモンの影響も考えられるのである。 しかし、ここまで妻に毛嫌いされてしまえば、夫としても面白いはずがない。一線を引かれるような態度に戸惑い、拒絶された寂しさを紛らわすために浮気でもしようものなら、離婚問題に発展しかねない。 このようなホルモンの作用による夫婦間の「すきま風」にうまく対処できなかったため、その関係性までもが変化してしまうのが「産後クライシス」の正体なのだ。 次のページ 環境次第で男性も「父親脳」に! 12次のページ Amazon 目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで 関連記事 「俺は利用された」ナルシストの元夫は子どもへの愛情がなく、親子の縁は切れてしまった厄介な「ヘリコプターペアレント」の実態と対策――何も決められない子どもが育つ!?子育て中に生じる“焦り”の正体とは? 古泉智浩&しまおまほが語る「親」という存在東大卒の主夫と元ヤリチンが、男の育児参加を阻む“見えざる壁”を語る「女性なら子どもが好き」という“刷り込み”から自由になるには?