サイゾーウーマンカルチャーマンガ仕事&男を捨てリスタート、『凪のお暇』が現代女性の“リセット後”の困難を描く カルチャー 『なんかおもしろいマンガ』あります ~女子マンガ月報~ 仕事&男を捨てリスタート、『凪のお暇』が現代女性の“リセット後”の困難を描く 2018/01/27 16:00 小田真琴漫画レビュー 人間関係をめぐる、ささやかな理想との戦い 1つ確実に言えることは、いずれか一方にのみ過大な負担を要求する人間関係は、とても健全なものとは言えないということです。元彼はもちろんのこと、自由すぎる隣人も、意図的ではないものの、人の心を弄び、支配しています(ちなみに双方に過大な負担を要求する関係性は「共依存」と言って、精神科の領域になります)。 それは恋愛関係のみならず、たとえば凪が疲れ果ててしまった「空気を読む」という行為も、マジョリティがマイノリティに対してある振る舞いを強要する暴力であります。 消耗戦に持ち込まれた人間関係は長続きしません。本作を読む限り、凪が求めているのは、たとえ1人でも感じることのできる、ささやかだけど豊かな幸せと、安定的でサスティナブルな人間関係であるように思います。これって現代人の多くが共感し得る理想ですよね。 コナリミサト先生のことはずっと応援し続けてきましたが、ここにきて、ついにブレークの予感です。ユーモアのセンス、キャラクターの作り込み、かわいらしい絵。どれを取っても売れる要素しかないので、この作品を機にぜひご注目ください。 小田真琴(おだ・まこと) 女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題がほしかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14架を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「FRaU」「SPUR」「ダ・ヴィンチ」「婦人画報」などで主に女子マンガに関して執筆。2017年12月12日OA『マツコの知らない世界』(TBS系)出演。 前のページ12 最終更新:2019/04/02 16:54 Amazon 凪のお暇 3 (A.L.C. DX) クズ男あるあるがテンコ盛り 関連記事 2017年女子マンガに現れた「クソ男キャラ」4選! “絶望”を読者に見せる時代に?オンナを描く漫画家・鳥飼茜に聞いた、女社会の“本質”と母親という女について『東京タラレバ娘』で“説教芸”に興じる東村アキコは、愚かなお笑い芸人のようだ2015年まんが界事件簿――【東村アキコ『ヒモザイル』騒動】が象徴したヒエラルキー相次ぐマンガ誌休刊の中、“売れるマンガ”の役割と少女マンガ誌の危ういスタンス その他の作品を読む 次の記事 浜崎あゆみウォッチャー座談会 >