サイゾーウーマンカルチャーインタビュー「女子中学生の性器がしゃべる」漫画騒動 カルチャー 漫画家・やまもとありさ氏インタビュー 「女子中学生の性器がしゃべりだす」漫画が連載中止になったワケと、“2年生”に突入した狙い 2017/12/26 15:00 インタビュー 『あいこのまーちゃん』より 「あいこ」は、ちょっと天然な中学1年生の女の子。ある日、彼女の性器に突然顔が現れ、「げぼっ!」と吐血。あいこはしゃべりだした自分の性器に「まーちゃん」と名付け、楽しく会話をしながら学校生活を送っていく……。 大胆な設定で、思春期女子の成長&性徴を描いたコミック『あいこのまーちゃん』。この作品は、もともとコアミックスが運営するWEB漫画サイト「ぜにょん」で連載され、その後に徳間書店から単行本として発売される予定だった。しかし、連載開始2日前に、徳間書店の担当者から「有害図書指定に当たる可能性があり、出版できない」との連絡があり、連載が中止となってしまう。 作者のやまもとありさ氏は、掲載予定だった作品を別のWEB漫画サイトで発表。さらにクラウドファンディングにて制作資金を募って、単行本化にまでこぎ着けた。現在は、続編『あいこのまーちゃん2年生』をWEBコミック誌「comicエスタス」で連載している。読者の間でも、女性器の表現や出版業界の自主規制について議論されることとなった『あいこのまーちゃん』の変遷とWEB漫画の現状について、やまもと氏に伺った。 ■萌え漫画に出てくる女性キャラは、あまり生きてる感じがしない 『あいこのまーちゃん2年生』より ――そもそも「女性器を擬人化してしゃべらせる」というアイデアは、ふと降りてきたような感覚ということですが……。 やまもとありさ氏(以下、やまもと) そうなんですよ。でもやっぱり「降ってきた」というからには、頭の上に何かしらモヤモヤがたまっていて、それが満タンになってバサッと落ちてきたんじゃないかなって思います。もっと単純に、女性器について、楽しく読んで学べるみたいな漫画もいいんじゃないかなっていうことも考えていました。 ――過激な表現と見なされて、規制を受けてしまうというような反響は予想してましたか? やまもと 若干の危惧はありました。でも、なにか行きすぎた表現があれば、編集者さんが止めてくれるって思っていたんです。実際に「どうですかね? 大丈夫ですかね?」って見せたら、すごくウケてくださったんで、じゃあイケるんじゃないかなって思ってたんですけど、結局、ダメでしたね(笑)。 ――性器の表現だけでなく、女子中学生という設定が引っかかったのかもしれないですね。でも、「初潮」というテーマを描くなら、思春期の女の子じゃないと成立しないですよね。 やまもと やっぱり年齢も低いところから描いていかないと面白くないな、とは思っていました。男性の読者に対しては、女の子は生き物というかナマモノっていうことを感じてもらえたらっていう……なんかちょっと偉そうなことも考えていたんですよ。いわゆる萌え漫画に出てくる女性キャラは、あまり生きてる感じがしないなと感じていて。女はもっと生々しいし、血が出るぞっていう部分を出したかったという思いがありました。 ――男性は、そういう部分から目をそらしがちですね。 やまもと 毎月出てるものだし、本当に細かい悩みはめちゃくちゃあるんです。そういう女性の思春期の機微みたいなものを描きたかったっていうのが大きかったですね。でも、表現が過激っていうのもわかっていたので、賛否はあるだろうなとは思っていました。ただやっぱりインパクトが欲しかったというか、毒にも薬にもならない作品にはしたくなかったので……。 ――否定の意見も届きましたか? やまもと 一番多いのが「気持ち悪い」。今でもグーグル検索で「あいこのまーちゃん」で検索すると「気持ち悪い」って出るんですよ(笑)。あと、「実際に血はこんなに出ない」とか、現実的なところで責めてくる人とかもいました。 ――それを言ったら、エロ漫画だって、実際はあんなに液体は出ないぞっていう話ですよね(笑)。 やまもと そうですよね。ただ「まーちゃん」は、絵柄と内容のギャップに違和感を抱いた方が多かったと思うんですよ。私も意図的にやったんですけど、こんな可愛くてファンシーで無垢な女の子から血が出るっていうことを感じてもらいたかった。そのギャップ感で引っ張りつつ、心の機微のほうに入っていくみたいな構想だったんです。 ――最後まで読むと、思春期特有の感覚というか、今振り返ると、あまり穏やかでない、ちょっと心がザラッとするようなことまで踏み込んでいるのを感じました。 やまもと 思春期に感じた、もう自分でも思い出したくないようなことを描くっていうのは、やりたかったことなんで。それが一巻で収まらなかったので、エスタスさんに「2年生」という形で続きを載せていただくことになって。これが終わっても、手が空いた時に、3年生、高校生って書いていこうかなって考えています。多分どこにも載せてもらえないかもしれないですけど、もう今は個人で電子書籍も出せますから。 次のページ 「あ、これ面白い、知らなかった」っていう出会いが雑誌にはある 12次のページ Amazon あいこのまーちゃん 関連記事 今も「処女膜再生手術」を受ける人はいるの? Dr.高須幹弥が語る「女性器手術」への本音ナプキンより快適 !? 「月経カップ」4カ国4種類を、5年間の使用経験から比較解説!婦人科医に聞く、タンポン向き、ナプキン向きなのはどんな人? 布ナプキンは生理痛に効く?生理前の頭痛はPMSではない!? 頭痛専門医が教える、「女と片頭痛」の意外な事実!生理痛は本来「ない」のが正常 子宮内膜症のリスクが高まる痛みは漢方で改善