サイゾーウーマンカルチャーインタビュー「女子中学生の性器がしゃべる」漫画騒動 カルチャー 漫画家・やまもとありさ氏インタビュー 「女子中学生の性器がしゃべりだす」漫画が連載中止になったワケと、“2年生”に突入した狙い 2017/12/26 15:00 インタビュー 「あ、これ面白い、知らなかった」っていう出会いが雑誌にはある 『あいこのまーちゃん2年生』より ――連載中止騒動について、いまはどう思われてますか? やまもと 連載中止になったことで、インタビューはかなり受けましたね。私としては、ありのままの経緯をお話しさせていただくだけだったんですけど、表現規制についてどう思うかみたいなことを問われる機会が多くて。そういう問題に自分が直面するとは思わなかったので、考える良いきっかけになりましたね。おかげさまで注目されましたし、こんな無名で新人の漫画家なのに、クラウドファンディングでもお金が集まって単行本も出せたし、今までやったことない経験がたくさんできたので、今となっては「連載中止にしてくれてありがとう」って感じです(笑)。 ――出版社から単行本が発売中止になっても、ネットを使えば自分らしい表現ができるというのは実感として得られましたか? やまもと 騒動になる前は、やっぱり漫画は紙の雑誌に連載して単行本化――みたいな考えに縛られていたので、価値観が変わったというか、転機にはなりました。でも、ネットはネットで問題があるんですよね。最初は、だったらネットで発表しまくってやる! という気持ちになったんですけど、なんか手応えがなかった。お金もネットで稼ぐのってめちゃくちゃ大変で、ちゃんと収入になるかなんてイチかバチかなんですよ。 ――ネットという発表の場があっても、お金にするには紙にして書店に並べるというのが、現状では一番わかりやすいシステムなんですね。 やまもと なんだかんだで、それには勝てないですよね。うまく宣伝すれば、ネット発でも導線が作れると思うんですけど、そのマーケティングを考えるのは難しく感じています。私もいろいろな経験から、いま『つればり』っていうWEB雑誌を自分で作ってるんですけど、それもひとつの挑戦ですね。 ――雑誌という形式にこだわってらっしゃるんですか? やまもと やっぱりネットで作品名で検索してると、読みたいものしか目に入らなくなっちゃうと思うんです。パラッと読んでて、「あ、これ面白い、知らなかった」っていう出会いが雑誌にはあると思うし、私の作品もそれに便乗したい。でも、紙の雑誌を作って即売会に出したりしてたんですけど、やっぱりぜんぜんもうからないんです。会場に払うお金とか、交通費とか飲み代とか、いろいろ考えたら、WEBで雑誌を作った方がいいと思ったんですよ。 ■薄毛について突き詰めたら、他者との付き合い方に行き着いた ――やまもとさんが「wezzy」で連載されている『おんな薄毛道~生やしてみせます』も好評です。 やまもと 『あいこのまーちゃん』騒動が落ち着いて、仕事がないって時に、なにか自分のことで漫画にできないかなってたどり着いたのが「薄毛」でした(笑)。エッセイ漫画は全然書いたことがなかったので、売れてる作品を研究して、頑張って描いてます。 ――実は『まーちゃん』とテーマが似てるといいますか、最終的に自身のコンプレックスを掘り下げる作業ですよね。 やまもと 漫画にするまで、薄毛について、ここまで考えたこともなかったんですけど、なんで気になるのかと突き詰めたら、やっぱり他者との付き合い方というか、この世界を生きるには、みたいなことになるんですよね。もともと私は共感することが苦手で、学生時代に女の子同士で「これ可愛いよね」「ねー」というようことを言えないタイプだったんです。まぁ、ひねくれてるだけなんですけど、でも、その群れにいた人たちの中にも、疎外感を抱いていた人が絶対にいるはず。共感を求めてるとか、すり寄って描いてるつもりはないんですけど、私と同じような生きづらさを感じたことがある人に届いてほしいという思いはありますね。矛盾してるような気がしますし、まだまだ技術的にも拙いですけど、これから磨いて、ちゃんと自分の表現として伝わればいいなと思っています。 (賀俵雄志/清談社) やまもとありさ 2013年に「コミックゼノン」に読み切り作『路上の唄』が掲載されデビュー。現在は『あいこのまーちゃん 2年生』のほか、WEBサイト「wezzy」で『おんな薄毛道』などを連載中。電子雑誌「つればり」の編集も手がける。『あいこのまーちゃん2年生』は、WEBコミックレーベル「comicエスタス」にて連載中(月1回更新)。12月下旬より、分冊版第1巻がAmazon Kindlrストアほか、各電子書店にて発売予定。 ・「comicエスタス」ニコニコ静画版 前のページ12 最終更新:2017/12/26 15:00 Amazon あいこのまーちゃん 生理については女性の間でも誤解が多い 関連記事 今も「処女膜再生手術」を受ける人はいるの? Dr.高須幹弥が語る「女性器手術」への本音ナプキンより快適 !? 「月経カップ」4カ国4種類を、5年間の使用経験から比較解説!婦人科医に聞く、タンポン向き、ナプキン向きなのはどんな人? 布ナプキンは生理痛に効く?生理前の頭痛はPMSではない!? 頭痛専門医が教える、「女と片頭痛」の意外な事実!生理痛は本来「ない」のが正常 子宮内膜症のリスクが高まる痛みは漢方で改善 次の記事 桃のインスタ写真に非常識と非難のワケ >