仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

松居一代、“前世からの縁”船越英一郎と夫婦破綻……それでもスピリチュアルを捨てない理由

2017/07/13 21:00

悩みを相談する側、される側の極意

 なぜスピリチュアルへの信仰が揺らがないかというと、それは金を払って相談しているからではないか。

 金を払って話を聞いてもらうというと、深刻な悩みを抱えていると思われがちだが、相談者が本当に悩んでいるのは、悩みがもたらす“孤独感”だと私は思う。しかし金を払えば、悩みを誰かと共有することになり、孤独ではなくなる。そこに心地よさを感じると、相手の話は二の次になるのではないか。相談しておきながら、話を聞いていない、解決もしないけれど、あまり寂しくなくてハッピーという状態が生じるのだ。

 また、相談を受ける側にしても、自分の考えを理解してもらうには、まず相談者の信頼を得る必要がある。そのためには、正論で詰めるより、相談者が最も知りたいことを早いタイミングで提供することが効果的なのだ。つまり、金を払っての悩み相談は、相談する方もされる方も、“悩みを解決しようとしない”ことが、極意なのである。

 悩みを解決しない状態を“なあなあ”と呼ぶことにする。この“なあなあ精神”とスピリチュアルは、相性が良い。松居は、無農薬野菜が本当に無農薬か畑まで見に行くと、いろいろなバラエティ番組で語っていたが、白黒つけるのが大好きな松居でも、さすがに前世には行けないから、ウソか本当か確かめることもできない。こういう世界がある気がする、あったらいいなという希望を、“なあなあ”がもたらしてくれるから、松居はスピリチュアルを見限ることなく、信じ続けることができるのではないだろうか。

 推測するに、松居は生まれつき、戦うのが好きな気質といえる気がする。前夫との6年にわたる離婚、欠陥住宅への保証など、松居は人生で定期的に裁判という闘いを経験している。船越のことはきっかけに過ぎず、最近ご無沙汰だった闘争心に火がついたように私には見える。


 船越にとっても今回の騒動は悪いことばかりではない。松居効果でMCを務める『ごごナマ』(NHK)の視聴率はアップしたそうだ。視聴率の低下でサスペンスドラマが少なくなる中、MCとして数字を稼ぐことは、今後の船越にとってプラスになるだろう。それに、不倫が事実であろうとなかろうと、ああいう形での暴露に嫌悪を抱く人は多いだろうから、「船越かわいそう」「あんなキツい奥さんじゃ、しょうがない」と船越の好感度は上がるはずだ。船越がもてはやされれば、松居の意欲はますます高まって、大好きな戦いができる。2人とも損をしていない。

 まるでスピリチュアルの素養のない私のような人間にも、松居と船越の結婚が“必然”という説は、大きく頷ける。酷暑の候、2人には体に気を付けて、仲良くケンカしてほしいものだ。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2017/07/13 21:00
守護霊
前世で敵同士だったんじゃないの?