検証しようがない「脳」を切り口に、30代女を絶望に落とす「CLASSY.」の恋愛企画
■「最後は孤独死」は既婚者も同じ
今月号を読み進め、可愛い大人&両想いワンピで身も心もズタボロになってたどり着いたのは、「何とかしなきゃ! 30代の恋愛ベタ症候群」というページ。キャッチコピーには「ときめかない、素直になれない、続かないの三重苦から抜け出すヒント」とあります。恋をしていて当たり前、なんなら本命以外にもしっかり目を向けていたのが20代、しかし30代になると結婚に焦りを感じているためか恋愛がうまくいかない、そもそも男にときめかなくなるのだとか。単に恋愛のことばかり考えてもいられなくなるから……ではなくて?
これを「CLASSY.」は大胆にも「脳のメカニズム」から紐解きます。そして出ました、「CLASSY.」名物、謎の専門家。今回は「感性アナリスト」なる先生が、「30代は本能で恋愛をすることができない年代なんです」と豪語。こちらの先生によりますと「私たちの脳はパートナーとなれる相手の遺伝子を無意識のうちに厳選しています。つまり、ある男性に惹かれたということは、脳がその男性の遺伝子と相性がいいと判断したということ」「しかし残念なことに、その厳選する力は25歳がピーク」「取捨選択の精度を落とした脳が選んだ相手ですから、“運命の彼”だと確信が持てなくなるのは当然」。ツラい……「精度を落とした脳が選んだ相手」という言葉の力が強すぎて前に進めない……。
次ページでは「30代の恋愛下手、放っておくとどうなる?」と題して、「ときめけない」「素直になれない」「続かない」という3大お悩みに対し、感性アナリスト先生と婚活コンサルタント先生が大説教。この婚活コンサルタント先生がまぁ辛辣で、「ときめけない=恋愛の末期症状。心が死んで人生自体がお先真っ暗」「ずるずると年を重ね男性が手を出したくない孤高のお局状態に」「誰かと一緒にいることすら面倒に。最後は孤独死かも」と容赦ない砲火を浴びせます。ちなみにこちらの婚活コンサルタント先生、読者からの個別相談には割と温和に対応していて、さすが婚活ビジネスでのし上がっていく女は、舌の枚数が違うなとあらためて思った次第です。
「CLASSY.」の恋愛ページに絶望感はつきものとわかっていながら、アラサー女性の真剣な悩みに対し検証しようのない「脳」を引っ張り出されると、精度落ちまくりの40代脳もついつい攻撃反応を示してしまいますよ。仕方ないですよね、脳がやってるんだから。20代で直観的に選んだ相手と親の反対を押し切って結婚、しかし夫は働かずに借金、DV、挙句浮気……みたいな話を「婦人公論」(中央公論新社)の読者手記で読みすぎているからでしょうか。「恋愛ベタ」と自覚があるくらいの方が、社会を冷静に見られているような気がするんですけど。
(西澤千央)