サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビューこなれを捨てた「CLASSY.」が暴挙へ カルチャー [女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」2月号 こなれを捨てた「CLASSY.」が、「男が似合うと思うものが似合うもの」と言い放つ! 2017/01/14 16:00 女性誌レビューCLASSY. 「CLASSY.」2017年2月号(光文社) 2017年一発目の「CLASSY.」(光文社)レビュー、特集は「その服、ホントに似合ってる?」です。前号で、まさかの“さよなら、こなれ”宣言をした「CLASSY.」。今月号のリードを見ると、「編集部で毎号の『好きな&嫌いなコーディネート』のアンケートを集計していると、必ず目につくのが“私には似合わなそうだから嫌いです”というコメント。たしかに、ページでどんなに素敵に見えたって、いざ買ってみて似合わなければがっかりですものね」ということで、「似合う服」について、とことん考えてみようという趣旨のようです。こなれの次の一手の前に、トレンドや思想があまり関係ない企画を出してきたのかな~。 <トピックス> ◎特集 その服、ホントに似合ってる? ◎男子が思う「似合う服」こそ一番モテる説 ◎男子がグッとくる正しいギャップの作り方 ■「サイズ感」とか言っちゃう男 この特集、骨格診断による体形、肌のカラータイプ、髪形、身長……など、さまざまな視点から「似合う」を探っています。「耳・首・指でわかる『似合うジュエリー』の選び方」とか、重箱の隅を突きまくっていて確かに面白いんですけど、でも待って! 「モテる」「結婚できる」という壮大なテーマの前に、かつては「白ワンピ+ピンヒールに巻き髪」、続いてはその反動のような「こなれカジュアル」……読者は自分に似合う似合わないは二の次で「CLASSY.」の教えを妄信してきたのですよ。それを急に、「乙女座O型のあなた似合う彼氏はこちら~」みたいに出してこられても戸惑うでしょうが。急に「自分自身を見つめ直そう」とか言われても困っちゃうでしょうが。こちとら見つめ直したくないから、女性誌に逃げているというのに! そんなファッション迷子状態の「CLASSY.」女子たちに、さらに楔を打ち込むのが、「男子が思う『似合う服』こそ一番モテる説」。「自分では似合っているつもりの服。でも、男のコからのリアクションはイマイチ…なんてことありませんか?」。嫌な予感しかしないと思ったら、久々に「CLASSY.」が伝家の宝刀「男子の本音座談会」を召喚していました。外資系通信会社、商社、IT系、広告代理店……女子たちが生唾を飲む職業男性たちが「僕たちが思う『似合う服』ってこういうこと!」と無邪気に語り合っています。 「せっかく美人なのに『なんでそんな服着ちゃったんだろう』って思う人結構いますね」「若い女性だったら何を着ていても『可愛いね』『似合うね』ってなりやすいけど、CLASSY.世代の大人の女性は、いつまでも自分の好きなものだけ身につけていればいいっていうわけにもいかはないはずですし」と、上げたり下げたりしながらファッション理論を展開する彼ら。「“ダメ出し”まではいかなくとも、もっとキャラ通りの服を着ている方がモテるのになって思っちゃう」と言いながら、「老け顔なのにすごく甘い服を着る人も苦手」「顔に全然合ってないんですもんね。違和感ありまくり!」など、思いっきりダメ出ししとるやないけ。 「もう若くないんだから」という「CLASSY.」女子の泣き所を存分に刺激した後に、「似合うかどうかはショップの人が知っている」というページがあり、巧妙なデート商法に引っかかったような気分にさせられたのでした……。 ■ギャップis幻想 こなれから解放された17年も、やはり「CLASSY.」女子は広告代理店や商社勤務の男性たちの放言に振り回され続けるのか……というアナタ、さらに絶望的な気分になる企画をご紹介します。もう落ちるときはとことんまで落ちましょう! それは「男子がグッとくる正しいギャップの作り方」。「『ギャップに惚れた』というセリフは男子からよく聞きますが、あくまでいい意味でのこと。ファッションも同様で、好感度を狙える一方、ちょっと間違えると見た目の印象だけで一気に損してしまう恐れも……」と無垢なるアラサーを脅すリード。 「初デート」「ホムパ」「合コン」「記念日」「初詣で」「旅行」という各シチュエーションで、よいギャップ/やっちまったギャップを紹介。「同じ職場でいつもキリッとパンツを着こなしている彼女。(中略)週末先輩宅の新築祝いパーティに現れた姿に仰天! 普段からは想像できない、超ぶりぶりファッション。彼女30歳なのに……かなりイタかったです」など「男子の実体験」がイチイチ添えられていますが、これがまぁ辛辣。「犬の散歩中の主婦か!」「『バブル』『平野ノラ』などと言われ」「絶対同伴だと思われた……最悪でした」「子連れ旅じゃあるまいし」……出てくる出てくる。ピンヒールが似合う、友達も羨む“いい女系”の彼女が、初詣にダウンにムートンブーツ、黒ずくめの完全防寒スタイルで現れて「新年早々別れを考えました」って、ピンヒールで初詣の人混みを行く苦難ナメすぎ、ニッポンの冬ナメ過ぎ。叶姉妹だってコミケには歩きやすい靴で来たというのに! この企画のいけずなところは、失敗コーデと正解コーデの違いが非常にあいまいなところです。「夜遊び風のハードでイケイケな黒レザーワンピース」はダメで「勝負ワンピはほどよく色気が薫る上品なデザイン」が正解(写真ではあまり違いがわからず)、「スウェットロングスカートの脱力コーデ」はダメでも「リラックスしつつ女らしさを叶えるニットセットアップ」は正解。これって、「CLASSY.」女子が最も苦手とする明文化されない微妙なライン、いわゆる人が「センス」と呼ぶやつじゃないですか……。ピンヒールが似合う女が初詣にピンヒールできたら、それはそれで空気読めないとか言うくせに。 さて、新年早々やりたい放題の「CLASSY.」。自分に似合うもの→男が似合うと思うもの→店員さんが似合うというもの……と、特集内にコスモを感じたのは筆者だけではないでしょう。ともあれ、「CLASSY.」は「CLASSY.」で、近い将来“こなれ”に代わる新たな柱を提示してくるはずで、17年もこのおもしろ雑誌から目が離せません。 (西澤千央) 最終更新:2017/01/14 16:00 Amazon CLASSY.(クラッシィ) 2017年 02 月号 [雑誌] そんなにピンヒール好きなら、ピンヒールと結婚なさい 関連記事 あれほど妄信していたのに、「主婦っぽい」「コンビニ服」と「CLASSY.」がこなれを卒業「CLASSY.」の“雑談力アップ”のための合コン実況中継、地獄が地獄を呼ぶ展開に……選ばれた女たちの余裕と自信がにじみ出る! 「CLASSY.」の商社妻座談会が読者の神経を逆撫で「CLASSY.」が何度目かの“モテワンピ”企画をぶち上げ、男性陣を総姑化させる事態が発生ぺたんこ靴の着回し企画の設定で、秘技「もしかして妊娠!?」を持って来た「CLASSY.」 次の記事 「捨てられる妻」の典型とは? >