サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「nina’s」の専業/WMの刷り込みがすごい カルチャー [女性誌速攻レビュー]「nina’s」9月号 女児持ち専業主婦はゆったり、男児持ちWMはカツカツ……「nina’s」の属性刷り込みがスゴイ 2016/09/10 19:00 女性誌速攻レビューnina's 「nina’s」2016年9月号(祥伝社) 2カ月に1度やってくる、オシャレママたちの金メダル争い「nina’s」(祥伝社)。今号の特集は「絶対買い!な神アイテム ママの新スタンダード」です。「目利きなママたちが今愛用しはじめているもの」を紹介しているこちら。もちろん単なるグッズ紹介ではなく、グッズを媒介とした己の育児意識、オシャレ意識、ナチュラル意識の高さを競い合う死闘です。 優木まおみが「無添加だから、子どもの食事にも安心」と「茅乃舎の茅乃舎だし」を出せば、ママモデルが「ストウブのオーバル鍋」で対抗、「BRIOの木製レールセット!」「Acne Studiosのスキニーデニム!」と札を切り合う中、「見た目も、使い心地や着心地も“気持ちいい”って感じるものに行き着きました」とうっとり語るのはMEGUMI。そして「熊本の陶芸家、余宮隆さんのマグの、浅めの形に惹かれました」と“作家”の“一点もの”攻撃。一般ママには参考にならなすぎて、MEGUMIが金メダル獲得! <トピックス> ◎特集 絶対買い!な神アイテム ママの新スタンダード ◎デイリーブランドで着まわしSUMMER→AUTUMN ◎デザイナーmamaのスタイルある暮らし ■イメージをよりイメージに近づける罪深さ さて今号は「nina’s」ではちょっと珍しい企画がありましたので、そちらから紹介します。「デイリーブランドで着まわしSUMMER→AUTUMN」。女性誌では定番の着まわし企画ですが、「nina’s」ではほとんど見ることはありませんでした。今回、ユニクロ、GU、無印良品、GAPを「華やかアイテムをちょいMIX」の「GIRLYさん(29歳、主婦。幼稚園に通う女の子のママ。横浜市出身、川崎市在住)」と「定番の色と形をコンプリート!」の「SIMPLEさん(31歳、アパレル系企業に勤務。保育園に通う男児のママ)」の2キャラクターが着まわすとのこと。「※ストーリー設定はすべてフィクションです」とご丁寧に注釈までついています。 着回し企画には雑誌の精神性が表れることが多いようですが、読み進めますと「nina’s」の専業主婦/女児ママ、WM/男児ママのイメージが浮き彫りになっていて怖いほど。GIRLYさんが「天然酵母のパン屋さんで今夜のバケットを買う」「ポンピドゥー・センター傑作展を子どもと鑑賞」「母と妹に娘を預けて刺しゅうカフェに」「パパ、33歳おめでとう! 娘とお誕生会の準備」など、時間的にも金銭的にも余裕のあるドリーミングな暮らしをしている一方、SIMPLEさんは「お盆休み最後の日は地元町内会の手伝いで流しそうめんの会に参加」「動けるチノなら帰宅後の掃除も気分が乗る」「怒涛の1週間を乗り切ってたまった洗濯物を片付ける!」「ショップリサーチ帰り、保育園から熱が出たと着信……」となぜか生活感たっぷり。こうなると専業主婦に女児、WMに男児を組み合わせることにも、なんらかの作為を感じてしまうというもの。女児とはショッピングや美術館、映画鑑賞、読書、男児とはスケボー、サッカー、動物園……インドアとアウトドアがくっきり。 ドリーミングで穏やかな専業主婦/女児ライフ。そしてリアルでドタバタ気味のWM/男児ライフ。着回し企画につっこむほど野暮なことはないものの、専業主婦側もWM側も、また女児ママも男児ママも消化しきれないモヤモヤを抱えそうです。しかしこれが「nina’s」のリアル。「男の子(WM)って大変そう」「女の子(専業主婦)は楽でいい」というイメージはこういうところから少しずつ母たちの脳を侵食していくのかも。余計なことを考えずに“型”にハマるのが一番正しい「nina’s」の楽しみ方なのかもしれませんが、ネット媒体だったらぶわっと燃え上がりそうな企画ですよ、これは。 12次のページ Amazon nina's(ニナーズ) 2016年 09 月号 [雑誌] 関連記事 育児の株価を上げるために、「nina’s」で改心を叫ぶ元夜遊び系アーティストママたち!圧力鍋やレイコップに罪悪感……「nina’s」の頑張らない子育てがしんどい日用品は外国製なのに、七五三は伝統的に! 良妻賢母が愛国と結びつく「nina’s」ママ不便な住まいと過度なご近所付き合い……「nina’s」のオシャレな暮らしはハードル高め!「nina’s」入園入学手作りグッズ企画に見る、手作り=母性という強迫観念