サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「nina’s」いわく手作り=母性 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「nina's」3月号 「nina’s」入園入学手作りグッズ企画に見る、手作り=母性という強迫観念 2013/02/14 21:00 女性誌速攻レビューnina's 「nina’s」(祥伝社)2013年3月号 「♪俺は東京生まれマリメッコ育ち~おかっぱのヤツは大体友達~」でおなじみ「nina’s」(祥伝社)の登場です。今号の表紙は古谷家生まれヒップホップ育ちの夫を持つMEGUMI。グラビア→出産→おしゃれママ→子ども服プロデュースという、昨今のママタレントの王道を歩み、「nina’s」にもちょいちょい登場しては「友達のライブに息子も連れていった~」など“ほかのママとはちょっと違う私”をアピールしています。 今号のインタビューでも「テレビ番組でもいつの間にか“ご意見ください”的なポジションになっちゃって(笑)。そうなると、表に出させていただいている女性として、女性の味方でありたいという思いが強くなりました」などなど、我々のあずかり知らぬところでMEGUMIさんは日本(の女性)代表になっているようです。これには筆者も思わず「も~勘違い! ワワワワ~」と安田大サーカスのクロちゃんになってエア花びらをまいてしまいましたよ。どうかMEGUMIさんには、得意ジャンルであるサブカルおじさん転がしにのみ邁進していただきたいと切に願います。 <トピックス> ◎Cover Interview MEGUMI ◎覆面調査 のぞき見!一週間家計簿大公開!! ◎入園・入学★ハンドメイド見本帖 ■素直に「節約」と言えないおしゃれママ 今月の特集は「おしゃれママはHigh&Lowを楽しむ!」。おしゃれママこそ「高くて良いもの」と「安くて良いもの」を使い分けているということです。歌手のMINMIが「元々、値段にかかわらず自分にビビっときたアイテムを買うタイプだけど……」「Highアイテムは自分ヴィンテージになるまで使う」とカッコよく語っているファッションページはスルー。おしゃれママたちの知られざる家計事情が丸見えの「覆面調査 のぞき見!一週間家計簿大公開!!」から紹介したいと思います。 登場するのは4人のママ。専業2人、WM(ワーキングマザー)2人という構成です。1日ごとに使ったお金を1週間写真付きで公開しています。年齢は26~31歳、子どもは1~2人、似たような家族構成でありながら、世帯年収の違いでお金の使い方にも大きな差が出ています。年収350万円の専業主婦さんは、ユニクロ、100均を基盤とするしっかりママ。野菜は週に1度の特売で、ポイントをためて念願のコーヒーメーカーをゲット、子どものおやつは手作りなどなど。同じ専業主婦でも年収1,800万円のご家庭では、ネイルサロン、まつ毛エクステ、ペットのトリマーなど生活費以外にお金をかけるかける。松阪牛に無農薬野菜、朝食のスムージーにマンゴーやパッションフルーツと景気のいいことこの上なし。ちなみにこちらのご家庭は、先述の専業家庭の方とに比べると約8倍弱の支出があります。おしゃれママと一口に言っても家計はいろいろ。 働くママ2人のご家庭を見てみますと、キーになるのは「時短」でしょうか。生協などの宅配は必須で、冷凍野菜を活用して下ごしらえの手間をカットするなど「仕事から帰ってきてすぐ夕飯になるように」工夫をこらした生活を送っています。忙しい中でも、カフェ風ワンプレートディナーで子どもたちを喜ばせたり、夫の大好きなゴロゴロ野菜入りカレーを作ったり、家族を思うママたちの努力が垣間見えます。 読者アンケートによりますと、ママたちのお小遣いは月平均1万6,774円。専業ママが約1万円、共働きのママが約3万円。生活費をなるべく節約して自分のお小遣いにしたり、ネットのポイントアップデーを使い、たまったポイントで自分の服を買ったり、「nina’s」読者ママたちは日々懸命にやりくりしながらおしゃれに励んでいるのです。しかし「I LOVE mama」(インフォレスト)のようななりふり構わない節約はしたくない――子どもの服をリメイクするのは“作品”という意味合いで、手づくりのおやつは“健康”志向で、光熱費を下げるのは“地球環境”というテーマの元に……全てを“おしゃれ”の名の下に帰着させる「nina’s」では、節約にも大義名分が必要。「LOWの中に入れられたとびきりのHIGH」もまた、カツカツの現実をリメイクしてくれる魔法なのでしょうか。 ■難易度高そうなものほど「簡単ですよ~」というコメントつき 先ほどの「HIGH&LOW」からもわかるように、カネにモノを言わせて全身ブランド物というのは、「nina’s」的にはnotおしゃれ。志向は常にクリエイティブですから、「そのワンピースかわいいね」「あ、これ? 自分で作ったんだよ~」という小芝居こそ本懐。まぁ大人の服はレベルが高いとしても、子どもの服やグッズなどはハンドメイドしたいのがおしゃれママという生き物です。続きまして拝見したいのは「入園・入学☆ハンドメイド見本帖」。 多くのママたちから「めんどくせ~」と泣きが入る入園グッズ制作ですが、そこは「nina’s」。「せっかくつくるなら子どもはもちろんママも納得のいくかわいいものにしたい」とのことです。「ユザワヤでバッグから巾着から上履き入れまで、まとめて作ってくれるよ!」という言葉はグッとのみ込みましょう。 不器用ママならページを開いたことを後悔するであろう、恐ろしいほどの力作が並びます。もちろん仮面ライダーウィザード柄もプリキュア柄も皆無。色違いの布やボーダーを組み合わせたもの、ファーを使ってモンスター風にアレンジしたもの、もちろん「nina’s」ママが死ぬほど好きなマリメッコ、リバティなど高級布地でそろえたものも。さらにオリジナリティが問われるのは、刺繍やアップリケなどのアレンジ。ここでも「名前シールをアイロンでぺったんこ」という言葉はご法度ですよ。クロスステッチ、サテンステッチ、チェーンステッチ、アウトラインステッチにコーチングステッチ……ステッチの無間地獄からオリジナルネームタグ、カバンにつけるタッセルまで手作り! タッセルなんて光の速さで園児たちに引きちぎられそうですが、そんなことは関係ありません。入園グッズこそ、カネでは解決できない、クリエイティブママたちのメンチの切り合いなのです。 「子どものテンションが上がる動物モチーフ」とか「似顔絵の刺繍は特別感があって子どもも大喜び」とか「子どもが自分のものだと分かりやすいように」とか“子ども”という人称を使いながらも、そこにあるのは“おしゃれな私”という満足感にほかなりません。「nina’s」のめんどくささとは、“おしゃれ”と“母性”が漫然と絡み合っているところ。それぞれがそれぞれの存在証明になっているところです。「オリジナリティがなければ、子どもを愛していることにならない」という謎の強迫観念があるのです。まさに「かあ~さんが~夜なべ~をしてマリメッコ縫ってくれた~ト~マスの方がよかったのにマリメッコ縫ってくれた~」です。 この時期、入園入学を控えてグッズ制作にいそしむご父母も多いかと思います。子どものことを考えながら巾着チクチク縫うなんて、この時期だけのもの。どうせどんな刺繍やら飾りやらつけたところでグッチャグチャにされるのがオチですが、こういう“報われない感”を楽しむというのも、もしかしたら子どもを持つ喜びなのかもしれません……なんて、すべて祖母に発注した筆者には口が裂けても言えませんが。 (西澤千央) 最終更新:2013/02/14 21:00 Amazon 「nina's」 MEGUMIさんには困ったもんだわ~(意訳:kjなんとかしとけ!) 関連記事 自ら“おしゃれ業界ママ”と言ってしまう「nina’s」の自家発電ぶりオシャレとセックスは相性が悪い!? 「nina’s」読者もセックスは子作り限定年齢別スナップでわかった! 25歳以下に「nina’s」カルチャーは存在しない悩みナシ、思想ナシ、ただおしゃれ! 「nina’s」を体現する女・松嶋尚美"育児をクリエイト"したがるパパだらけ! 「nina's」から漂う新たな臭み 次の記事 森公美子で数字を獲るTBS >