六反りょう『亭主元気でマゾがいい!』イベントレポート

「未体験の立場をイメージする」元女王様マンガ家が語る、夫婦円満に生かせる“SMの関係性”

2016/05/08 17:00
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六反りょう先生(右)と司会の小林美沙希さん(左)

 女王様とM男の夫婦生活を赤裸々に描いた実録漫画『亭主元気でマゾがいい!』(講談社)をご存じでしょうか。現在、WEBコミック「モアイ」で連載中の、「SMの神髄がわかる」と話題の良書です。作者の六反りょう先生は、元SMの女王様。M男の旦那様と結婚し、夫婦円満、楽しい結婚生活を送っています。

 なんでもSMとは、ただ相手を痛めつけるのでも、相手の嫌がることをするのでもないとのこと。相手の望むファンタジーを叶えてあげることがSMなのだそうです。パートナーに攻められたいのか、はたまた攻めたいのか。人によって性癖は異なりますが、相手を思いやり、信頼しあってこそSMの関係は成り立つと、六反先生は本書を通して、自身のSM観を伝えています。

 そんな『亭主元気でマゾがいい!』ですが、先日、単行本第1巻の発売を記念して、マンガサロン『トリガー』にて、イベント「元女王様が答える!パートナーのしつけ方(ワークショップもあるよ)」が開催されました。女性限定のこのイベント、チケット販売開始5時間で完売という人気ぶり。今回はこの濃ゆそうなイベントに潜入取材をしてきました。さて、SM=特殊プレイと思っている人も多いでしょうが、「夫婦円満」には、どんな関係があるのでしょうか? 

■Sだってそれ相応の奉仕をしている

 イベントでは、読者のSMにまつわる恋愛や性に関する悩みに、六反先生が答えてくれるコーナーが。例えば「自分はSではないが、付き合っている男性がドM。攻めるばかりではなく攻めてほしいのに、してくれないので満足できない」というお悩みがありました。そんな時はどうすればいいのか……? 素人にはとても思いつかないような、SMを知り尽くした六反先生ならではの答えがこちら。


「例えばスパンキングをしてほしいとしますよね。でも黙っていてもM男はやってくれません。こういう時は、命令口調で『しなさいよ』と言うんです。そうすると、『命令されてこんなことしてる俺』っていうのにM男は興奮する場合もあるようです。これ、自分の夫が言っていたので、少なくとも1人のM男の心を掴んだ方法です(笑)」

 また、「なんでも言うことを聞く奴隷がほしいです」というとんでもなくワガママな質問にも、六反先生は

「確かにM男は『奥さんは女王様なんですよ。かっこいいでしょ!』と言ってくれたり、褒めてくれるのでテンションが上がります。彼のためにかっこよくしていようとか、尊敬される人間でいようとも思えますね。でもM男は本当にワガママなんです。従いたいのは特定のことだけ。うちの夫の場合だと、家事を命令されてやりたいらしいんですが、自分でやった方が早いので、実は面倒くさいんですよ。命令されたいから命令してあげるけれど、私もその分の労力を払っている。なんでも言うことを聞いてくれる奴隷を作るということは、それ相応の奉仕をしてあげているということでもあるんです」

と、実際にM男と暮らしているからこそわかる奥深い回答をしていました。「一方的になにかを得るだけの関係なんて、この世にはない」「ギブ&テイクのバランスはイーブンじゃないと成り立たない」。そういう、基本的な人間関係の考え方がSMを通して見えました。

『亭主元気でマゾがいい!(1)(モーニング KC)』