[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」10月号

ボーイッシュコンプレックスゆえに迷走する「CLASSY.」、ダサダサのザOL服を貫くべし!

2013/09/08 18:00

■“ザOL”ができるのは「CLASSY.」女子だけ!

 しかし平日はOLとしてふさわしい格好を、休日は「やっぱ金麦女子っしょ」と言っちゃうコンサバ好き男子とのデート服を着用する彼女たちにとって、「とりあえずコンバースを履いておけばカジュアル」と考えるのはごくごく自然なことなのかもしれません。中でも週5の割合で占める「通勤」スタイルが「CLASSY.」女子たちのファッションテイストをコントロールしているのは周知の事実。つまり企業で働く通勤OLである以上、カジュアルはたま~に食べたくなるケンタッキーフライドチキン的要素で十分。

 そういった観点から考えると、これはかなりの事件ではないでしょうか。「甘口OL&辛口OLの羽織りものサミット」。羽織りものサミット……この局地的ゲリラ豪雨のようなタイトル! さらにリードには「“着崩し”や“抜け感”が重要でないオフィスですら、カジュアルブームの昨今、羽織りものは窮地に立たされ“もう通勤のオシャレは諦めた”とのOLの声もちらほら。でも諦めないで! “きちんとオシャレ”の正解を探して、CLASSY.は“羽織りものサミット”を開催します」の文字。国民の九分九厘はご存じないかもしれませんが、筆者も全然存じ上げませんでしたが、どうやら今、OLの必需品“羽織りもの”が存続の危機に立たされているようなんです。

 この企画、秘書(外勤)、金融関係勤務(内勤)、メーカー勤務(内勤)の“甘口OL代表”と音楽関連会社勤務(外勤)、メーカー勤務(内勤)、人材派遣会社勤務(外勤)の“辛口OL代表”による討論会がメイン。甘口と辛口の定義がよくわからない上、真剣に討論しているテーマが“羽織りものクライシス”……「ジャケット株が大暴落の危機!?」「古く見える、マンネリ……甘口の悩みは、どう今っぽさを取り入れるか」などなどを女たちが熱く語り合う様子は、かなりシュールです。

 しかしこの企画の本丸は、この討論会ではありません。後半の「『ザ・OL』にならないカーディガン術」にこそ、「CLASSY.」のオシャレ問題を読み解くカギがあります。内容はカーディガンの着こなしに悩む読者にファッションディレクターやスタイリストたちがテクニックを伝授するBefore&Afterですが、キャッチには「『なんだかダサい……』から抜け出すコツを伝授」、リードには「ベーシックだけど“OLさん”風にならない、オシャレ度の高い着こなしテクニック」など、要約すれば「なんだかダサいOLさん風なファッション」という「CLASSY.」女子のウィークポイントをズバリ指摘してしまっているのです。


 この流れはさらに続き「コンサバ服を“今っぽく”する7つのヒント」でも、コンサバを「なんだか古い……」とバッサリ。カップルのデート服を徹底矯正する「私たち、『オシャレな二人』って言われたいんです!」に至っては、もうタイトルに悲愴感まで漂っています。男性は紺のジャケット、女性は巻き髪にスカーフ率の高いコンサバカップルが、プロからオシャレのアドバイスを受けた結果、先ほども申し上げた“借りてきたカジュアル”という負のループに。インしたダンガリーシャツ、腰に巻いたチェックシャツ、そして素足にコンバース!

 今までうっすらとは感じていましたが「CLASSY.」におけるオシャレ問題、なかなか根深い模様です。きちんとはしてるけど、なんだかダサイ、古くさい、ザOL。そこから脱却しようとこなれジャンルに足を踏み入れたはいいものの、染みついたコンサバ魂はいかんともしがたく、結局は型にこだわった“借りてきたカジュアル”に……。もう、よろしいのではないでしょうか。ワンピースにカーディガン、足元はパンプスで髪はしっかり巻く。それがこんなにしっくりくるのは、今のご時世「CLASSY.」女子を除いてほかにおりますまい。そして「CLASSY.」が見据える男たちは、なんだかんだでコンサバスタイルを最上と考える人たちです。流行から見て「Before」もしくは「NG」とされたスタイルの方が収まりがよく見える稀有な雑誌なのですよ、「CLASSY.」。
(西澤千央)

最終更新:2013/09/08 18:00
「CLASSY.」
巻髪orポニーテールのくせに流行とか言ってんな!!