サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「CLASSY.」の男性本位肯定主義は、古典芸能だと思って認めるべき! カルチャー [女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」10月号 「CLASSY.」の男性本位肯定主義は、古典芸能だと思って認めるべき! 2011/09/04 17:00 女性誌速攻レビューCLASSY. 「CLASSY.」10月号(光文社) 今月号の「CLASSY.」(光文社)、特集は「オシャレと愛が深まる秋」です。ほかの企画も「みんな大好き!『里子シンプル』の作り方」「もう、ZARAのない人生なんて!!」などなど、夏を引きずっているのか少々高めのテンション。中身は広告がぎっしり入っておりますし、充実した号のご様子。しかし、何の変哲もない「オシャレと愛が深まる秋」でさえ、深い意味を持っていたとは、表紙を見ただけでは知る由もありませんでした。と意味深な前ふりをしたうえで、早速「CLASSY.」ワールドを覗いてみましょう! <トピック> ◎必要なのは可愛さよりも「可愛げ」です ◎オシャレと愛が深まる秋 ◎通勤セットアップのイメージ戦略 ■ここでも芦田愛菜ちゃんの圧勝 今月号を読み解く上で見逃せないのが、「必要なのは可愛さよりも『可愛げ』です」という企画。リードには「なんだか男性本位な言葉に聞こえますが、性別・年齢・立場を問わず、これさえあれば実はだれとでもうまくやっていける…?」とあります。「男性本位」……筆者が「CLASSY.」を語る上で避けてきた言葉を自ら使うとは……。 とうの昔から、女性誌はフェミニストの方々から「男性本位のメディアである」と言われ続けてきました。消費者としての女性を煽動しようとする広告代理店・広告主や、男性編集者によって作られた「男性に愛される(=男性の欲望を忠実に具現化した)女」のための教科書だと。それが社会情勢の変化や出版不況などいくつもの要因が重なり、男ウケ以外を提案する女性誌も増えてきました。そこにあって「CLASSY.」は、意図的に「男ウケ=男性本位」を死守してきた雑誌です。それは今まで、この女性誌速攻レビューでご紹介してきた、「結婚できる服」「着るだけで『幸せになれる』服」などをご覧下されば、ご理解いただけると思います。 それを踏まえた上で、「必要なのは可愛さよりも『可愛げ』です」を見てみると、まず「CLASSY.」の十八番・男性の座談会からスタートしています。デートにタグをつけっぱなしで来た女の子に指摘し、その子が涙目になった姿にぐっときた、という幸せな話をしています。そして、4人が出した結論、「可愛げ」とは「隙があること」「ギャップを感じさせること」「少女っぽいこと」「飾らないこと」ですって。なるほどー(棒読み)。その後は、その4つの要素を洋服のコーディネートとともに紹介しているのですが、 ・隙があること→そのつもりのない肌見せ ・ギャップを感じさせること→平日とはガラリと変わった白ワンピ ・少女っぽいこと→大きな声で「ありがとう」を言える ・飾らないこと→よその子とも無邪気に遊べる どうですか、この「浅はか」と背中合わせの「男性本位」。「少女っぽいこと=大きな声で『ありがとう』を言える」って芦田愛菜ちゃんじゃないんだからさ。でも、それはきっと外野の野次なんですよ。「CLASSY.」信者はあまたある女性誌の中から、わざわざこのスタンスを選んでいるんですから。 ■小林麻央を女性誌に落とし込んだ感じ? そして冒頭の「オシャレと愛が深まる秋」に戻ってみますと、「男性本位に乗っかった女」を肯定するキャッチが並び、「CLASSY.」信者にとってはパラダイス銀河(C)光GENJI。「守ってあげたい!と思わせる 優しげニット図鑑」「抱きしめたくなるニットワンピ」「ドキッとする肌見せ」「『自慢の彼女』の日 『僕だけの彼女』の日」などなど、これでもかというぐらい男性本位を肯定する文言が並びます。 ここで鼻息荒く、「男に媚びることばかり考えて!」と糾弾する人もいると思うのですが、筆者はこれは立派な古典芸能だと思います。今後、歌舞伎や能みたいに、「好きな人にはたまらないんだけどね」というスタンスを死守していけば、「CLASSY.」の存在意義が成り立つと思うのです。だって、みんながみんな「男性ウケ」を考えずとも生きている女性ばかりではないし、「女性の生き方」は多様化しているよう見えるだけで、現実は画一化しているようにも感じます。となると、やはり「CLASSY.」が死守してきた古典芸能的な価値観だって必要だということです。 ■スイート通勤ってどうやるの? 今月はレビューが嫌に重たい感じになったので、普段はどんなおバカなことをしていても許すタイアップ企画にチャチャを入れてみたいと思います。「そごう・西武で見つける、大人の上品ジャケットスタイル 通勤セットアップのイメージ戦略」はその名の通り、そごう・西武のテナントである「ICB」「アンタイトル」など、OLが普段使いしているブランドの通勤服を紹介したページ。ただ、普段使いしているとあっても可もなく不可もなくといったコーディネートになりがち。そこで「CLASSY.」が華やかに演出してくれてます。ページごとにテイストを分け、「ちょいクール通勤」「ちょいスイート通勤」「ちょいセクシー通勤」ってあるんですが、筆者からのご提案。お願いだから人間として普通に通勤させて~!! ちなみに今月号には別冊付録として、「英国王室ご愛用ブランドのスマートフォン」という冊子があります。、由緒正しきトラベルケース・ブランドのはずが、愛用者が中村江里子、優木まおみ、スザンヌとあって、なぜか不安をかき立てるページになっております。そちらも併せてご覧いただくと、より一層「CLASSY.」への愛情が深まると思います。はっ! まさに「オシャレと愛が深まる秋」! (小島かほり) 「CLASSY.」 女性誌というのは、本当に難しいものですね(棒読み) 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・「CLASSY.」の「結婚できる服」特集、最初の1ページで本を閉じたくなるワケ ・「だからあなたは結婚できない!」、「CLASSY.」の結婚教が次のレベルに ・「今じゃない」人の救済雑誌「CLASSY.」が提案する、「幸せになれる服」って? 最終更新:2011/09/04 17:00 次の記事 “自分のこと”につくづく飽きて……「子どもがいたら人生変わる?」は甘かった >