サイゾーウーマンコラム女が変身願望や”はけ口”としてセックスを求めると……『恋の罪』はスッゴイわよ! コラム ブルボンヌの映画批評 「女優女優女優!」第14回 女が変身願望や”はけ口”としてセックスを求めると……『恋の罪』はスッゴイわよ! 2011/11/16 17:00 ブルボンヌの映画批評「女優女優女優!」 (C) 2011「恋の罪」製作委員会 サイ女な皆さん、雑誌の記事を鵜呑みにして、キレイになるためだけにセックスしちゃったことありますか~。ま、個人的には、しなさすぎるのも、しすぎるのも、どっちもダメだと思います。アタシはしすぎでダメでーす!(高らかに宣言) たいていの男にとってセックスは、愛以前に排泄行為。もうね、全国の高校の男子トイレには自慰室でも作ってあげたいくらいに(絶対何か仕掛けそうなアタシ)、基本、男ってのは「抜きたい」ものなわけです。アタシもおばさんを装ってますが、中身はスケベなおじさんなので、生理はないが生理的には男性のソレが痛いほど分かりますもの。痛い痛い! それに比べて、女のセックスは、より恋愛感情と結びつきやすいというのが定説。アタシも昔から、ノンケ女子やレズビアンのお客様・お友だちに生々しくリサーチしまくってるんですが、千人斬りクラスの色ボケもごろごろいるゲイ男性に比べて、女子にはやはり「ただ快楽のためにヤリまくってる」というタイプは激しく少ないみたいなのよね。ちっ、お前ら気取りやがってよ!(誤認ケチつけ) ただし、その理由が恋愛ではない別の衝動、ストレスのはけ口や変身願望といったものであれば、どうなのか……というのが、今回の映画『恋の罪』が描いてくれたものかと。 こぬか雨降る御堂筋......じゃなくてラブホ街円山町に立つのは、今作での全裸公開も話題の水野美紀ちゃん。『スト2』の春麗から女刑事まで、常に体を張ってます! この映画は、90年代に渋谷区のラブホテル街で実際にあった殺人事件、つまりいわゆる東電OL殺人事件に「インスパイア」されたもの。と言うと、水野ちゃんは女刑事役だし、ちょっと前に冤罪疑惑で話題になったあの事件の新しい解釈が? とか思われそうですけど、あくまで「インスパイア」されただけなので、真犯人追求にはまーったく役に立ちません。それよりもあの事件で、殺された被害者のほうが死後にひどい報道をされまくった点、つまり、世間が好奇の目で見まくった「エリート女性の夜の顔は売春婦だった」という設定をテーマにしてるわけなのね。 出てくる女性3人は、「刑事」「大学のエリート助教授」「人気小説家を夫に持つ貞淑な主婦」と、それぞれに立派なご身分。そんな女たちが「セックス」に絡めとられていくというお話です。 てかね、絡めとられるどころか、最初から絡まりまくりのぶっちぎりパンパンっぷり、冨樫真さん演じる助教授がスッゴイのよ。以前この連載でも紹介した、『黒い家』での大竹しのぶさんの「乳しゃぶれー!」的な怪演、今作の助教授の夜のシーンは常にあのテンションが続くと思っていただければ分かりやすいかと。 さらにそんな助教授にすっかり仕込まれてしまう、神楽坂恵さん演じる主婦の変化もおもしろい。帰宅時の玄関スリッパを見て、「うん、いい位置だ」とか言っちゃう神経質な旦那(ほんとムリ)との息の詰まるような生活から始まっての、ラストのはじけた姿の違いようといったらアンタ。実際、「先輩売女の助教授による主婦調教」こそがこの映画の軸なんじゃないかしら。 大学構内でいきなり主婦の舌をつまむ助教授姐さん。渋谷のレディースチーム「真夜中は別の顔」(円山町シニア組)の先輩後輩ってテイでしょうか。 父への度を越した想い、そして母との確執という家庭環境の歪みと、文学的インテリ性が生み出したのであろう、淫乱哲学に裏打ちされた女助教授の夜の顔。その彼女が、立場は違えど「女の乾き」を全身で訴えていた主婦を捕らえ堕としていくシーンは、本当に強烈。 この冬の最新トレンド、杏ちゃんによる妖怪人間ベラメイクをいち早く取り入れた助教授が、ダミ声で 「アンタはきっちり堕ちてこい! 私のとこまで堕ちてこい!」 って叫ぶんだから。しびれるっつうの。主婦も「はい~!」と、良いお返事。 さらにダメ押しで、大方斐紗子さん扮する助教授の母親役もスッゴイ。高音で繰り出す、上品なんだか下品なんだか分からない口撃と、それを「クソババア早く死ねよ」などと迎え撃つ薄ら笑いのベラ助教授の母娘シーンは、一見の価値アリです。 こうして見ると、助教授、主婦、ババア、とタイプの違う発狂女優が3人も揃ってくれて(命名・怪演隊)、しびれるビッチセリフも連発と、オカマ女とオカマにとってはご馳走てんこ盛りって感じですけど、逆に水野美紀ちゃんの存在がとことん薄くなってしまうという問題もあり。確かに、アマゾネス怪演隊だけじゃ喜ぶのはスキモノだけになってしまうし、観客とのかろうじての接点になってくれそうなキャラが必要だったのかもしれませんが、全裸にまでなった甲斐はといえば、微妙かしらねぇ。 そして、この映画が描きたかったのであろう「性に向かった女の闇」という部分に関しては、こういうテーマを描いてくれてうれしいというのは大前提で、ただ少し、ノンケ男的目線の「哀れみ」が入りすぎている気もしたわね。アタシとしては、エリート女が考え過ぎてセックスに狂おうが、貞淑女がセックスで開放されようが、ヤッちゃう女ってのは好物なんだけど、そこにあまりに「そうなってしまうには深く悲しい事情が」という意味付けをされるとむず痒い気持ちもあるのよ。 『吉原炎上』や『肉体の門』などの、五社英雄大先生の名作も、そんな女たちが大集合だったけど、彼女たちにはもう少し救いを感じたというか、どこかカラッとしているところが見えたのよね。五社先生には、それでも強く生きる女への憧れがあったような。このへんは男性監督の目線の違いとしても興味深い部分かしら。 あ、とは言っても、若手清純派女優のユルい自分探し映画とかよりは何倍も希少価値のある、アタシ好みの映画なのは間違いありませんからね~! サイ女の皆さんにも、インテリ空回りや平凡煮詰まりしてる方がそこそこいそうな気はしますが、血と肉の通った己の存在意義を確かめたいなら、今すぐラブホ街に向かってはいかがでしょうか。 つうのは冗談としても、ネット上にカオナシたちのつぶやきが溢れ、それこそが人と人とのつながりとなりゆく時代。人が、体液や肉でつながるプリミティブなセックスという行為は、今まで以上に、めんどくさい意味付けがされて然るべきなのかもしれないわね。アタシも、助教授のおかんの 「あなたもセックスなんていう下品な行為に負けてはだめですよ」(上品高音) という言葉を思い出して、負けずに今後も励みます! ブルボンヌ 全国クラブのお笑いショウや試写会テキトーMCで活躍中の女装パフォマー/ライター。『レコチョク』(ケータイサイト)等に寄稿しつつ、新宿2丁目ゲイミックスバーのママ業もこなす。芸能通のゲイたちと一緒にオカマなブログ『Campy!』もプロデュース中。 <突如宣伝> エリート女の歪みや主婦の乾きは、セックス以外に、女装で笑い飛ばすのもオススメだゾ! というわけで、ブルボンヌ率いる熟女装ユニットCampy!ガールズが送る『Campy!飲み会』が近々開催されます。皆様、今すぐローソンチケットをゲットよ! 詳細は瀕死ブログCampy!にて。 『恋の罪』 どしゃぶりの雨が降りしきる中、ラブホテル街のアパートで女の死体が発見される。女刑事・和子(水野美紀)は謎の猟奇殺人事件を追ううちに、大学のエリート助教授・美津子(冨樫真)と人気小説家を夫に持つ清楚で献身的な主婦・いずみ(神楽坂恵)の秘密に触れ、引きこまれていく。事件の裏に浮かび上がる真実とは? 3人の女たちの行き着く果てに愛の地獄が始まる――。 テアトル新宿ほか全国ロードショーで公開中 ・公式サイト 【バックナンバー】 ・第一回 ブルース・ウィルス『サロゲート』 ・第二回 メリル・ストリープ『恋するベーカリー』 ・第三回 ペネロペ・クルス、ニコール・キッドマンなど『NINE』 ・第四回 ガボレイ・シディベ『プレシャス』 ・第五回 『セックス・アンド・ザ・シティ2 』 ・第六回 アンジェリーナ・ジョリー『ソルト』 ・第七回 大竹しのぶ『オカンの嫁入り』 ・第八回 クリスティーナ・アギレラ&シェール『バーレスク』 ・第九回 ヘレン・ミレン『RED』 ・第十回 ダコタ・ファニング『ランナウェイズ』 ・第十一回 ジュリアン・ムーア『キッズ・オーライト』 ・第十ニ回 ジュリアン・ムーア『クロエ』 ・第十三回 シアーシャ・ローナン&ケイト・ブランシェット『ハンナ』 最終更新:2019/05/17 21:06 次の記事 チャン・グンソク、追っかけに激怒してTwitter削除騒動に発展 > Facebook Twitter プッシュ通知を受け取る クリックしてプッシュ通知を有効にする クリックしてプッシュ通知を停止する アクセスランキング コラム 近親相姦は男性にとって最後の「慰安」? 実父の強姦が黙殺された「栃木実父殺し」から現在 松本人志が「週刊文春」と和解? “喧嘩両成敗”的ストーリーで擁護する「女性自身」 Amazonチャットの“定型文”にキレる【前編】 秋篠宮家の「強み」とは? 秋篠宮家が「推薦入試」にこだわる事情 プウ美ねえさんお悩み相談大募集 秋篠宮さま、大学時代に「7人の恋人」? 陣内、紀香と合わなかったワケ 婚約発表で“元カレ”問題が浮上の皇室 皇室の“セックスマニュアル”? その内容は 『虎に翼』史実上の桂場と寅子の関係 秋篠宮さまの“プロポーズ美談”は全部ウソ? 夫が愛人と変死した悲劇の皇女 中学受験、ハマると危険な「4つの沼」とは? 中学受験したのに専門?母のたられば論 工藤會、高学歴ヤクザの「仕事」とは サラリーマンと結婚した皇女が金銭難で内職? 悠仁さまへの帝王学は行われているのか? 中居正広・浜田雅功・二宮和也……松本人志と周囲の友情や絆を美談に仕立てる女性週刊誌 総合 ロピアの新商品スイーツが幸せ! 【ラーメン山岡家】、530円の朝メニューにびっくり HiHi Jetsのパフォーマンス動画【2018~20年】 【不二家】初のドーナツ店にびっくり 風磨、批判された候補生に「感謝」のワケ 『よめぼく』永瀬廉を見てモンペ化 近親相姦は男性にとって最後の「慰安」? ダイソー「本当に使えるグッズ」38選 ロピア「鮮魚最強の日」行ってみた 【ジョブチューン】リンガーハットTOP10 TOKIOの生配信に山口達也出演でファン感激 スシロー【杉玉】990円舟盛りに感動 【セブン】お店で揚げたドーナツは揚げパン? 【ミスド】秋限定ドーナツの第1位は? 声優・平野綾、過去もケンカ絶えず HiHi・高橋の厳選ステージ写真15連発 【ロピア】ゾロ目Dayとは? 『コナン』声優、突然の廃業に騒然 実父の強姦が黙殺された「栃木実父殺し」から現在 「ジュニア解体」の情報飛び交う カルチャーの人気記事 “行ってはいけない”縁切り神社 高校野球応援、チアとブラバンの本音 ヨドバシ販売員が教える「最強の双眼鏡」 悠仁さま成績不振報道は怪しい? アラフォー婚活、45歳イケメンの残念点 カルチャー一覧へ サイ女の精神!過去の人気コラム メルカリの27万のネックレスがきっかけとなった、魔の“無限ループ”……売れなかったら破産!? コラム 5万円超えの「セオリー」ジャケットを2色買い! でも、トホホな結果になったワケ コラム 中学受験させた結果が専門学校? 娘に「無理をさせたくなかった」母の「たられば論」 “中学受験”に見る親と子の姿 コラム一覧へ