[ジャニーズツッコミ道場]

Sexy Zoneの歴史とは、苦難の歴史である――「意地でも連続1位死守」への困惑

2023/06/10 18:00
太田サトル(ライター、アイドルウォッチャー)

Sexy Zone、デビュー曲1位獲得のための“なりふり構わぬ”緊急握手会

 思えばSexy Zoneの歴史とは、苦難の歴史でもあった。11年11月16日発売のデビュー曲「Sexy Zone」をめぐる騒動がその始まりだ。

 オリコンのデイリーチャートで、AKB48の派生ユニット・Not yetに1位を獲られ、2位スタートだったSexy Zone。初回限定盤4種+通常盤の5形態での発売に加え、フラゲ日にあたる15日には、ラゾーナ川崎で握手会を含めた即売イベントを実施したにもかかわらず……である。

 この結果を受け、関係者は、(これはやばい……)という空気に包まれたのかもしれない。所属レコード会社の公式サイト上では、週末2日間の緊急握手会の開催と、グッズ抽選会の実施が告知された。しかもこの握手会にはA.B.C-ZとKis-My-Ft2のメンバーも緊急参加し、2グループのファンも駆けつけたというから驚きだ。こうしたなりふり構わぬ手法により、Sexy Zoneはどうにかウィークリーチャートで1位を獲得することができたのである。

 この長時間にわたる突発的なイベントにより、当時、まだ小学生だった最年少のマリウス葉は「さすがに眠そうだった」というレポートも目にした。ファンからは、握手会商法も含め、「そこまでしなければならないのか」という批判の声が上がっていたものだ。

打倒ミスチルで気合を入れすぎた? 「君にHITOMEBORE」はCD等20種展開!

 また、8thシングル「君にHITOMEBORE」でも、ファンを困惑させる商法が炸裂した。同じくシングル初動連続1位記録を持つMr.Childrenと同週のリリースということで、レコード会社が気合を入れすぎてしまったか、初回限定盤4種、通常盤、Sexy Zone Shop盤が3種という、CD8形態での展開を実施。


 これだけでも“すごすぎる”のだが、表題曲の音源と待受画像や特別映像などが収録された「ミュージックカード」A・Bの2タイプが、待受画像の絵柄違い6種類ずつ計12種類、300円という安価で販売されたのだ。Sexy Zoneは、CDとミュージックカード合わせてなんと実質20種類という発売形態でミスチルを圧倒、合計30万枚を超える初週売り上げを記録し、初週1位を獲得した。

 なお、その後、ミュージックカードは、購入者のダウンロード率の低さや、まとめ買いのしやすい販売形式そのものが疑問視され、楽曲の売り上げ枚数に合算されなくなり、時代の徒花のようにその役割を終えた。近年の「追いデレラ」(※)や、Snow ManとSixTONES同時デビューでの売り上げ合戦のような現象の際にこれがあったら、どんなエグい数字を叩き出していたことだろうか……。
※King&Princeから、平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太が脱退する5月22日を前に、デビューシングル「シンデレラガール」のミリオンセラーを達成させようと、ファンの間で広まった運動