仁科友里「女のための有名人深読み週報」

平野レミは、デキるビジネスウーマン――ただの天真爛漫な人ではないと思うワケ

2023/03/16 21:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

料理界の暴走特急こと平野レミ(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「だから、なんだって? なんだって?」平野レミ
『ぽかぽか』(3月9日、フジテレビ系)

 “天真爛漫な人”というのは、テレビと相性がいい。予定調和ばかりの番組だと視聴者は飽きてしまうが、こういうキャラが1人いると、いい意味で番組が引っかき回されて、アクセントになる。

 中でも料理愛好家・平野レミは、“ザ・天真爛漫キャラ”といえるのではないだろうか。番組で料理を作る場合、一般的には、正しい手順、正しい分量、正しい方法 が重んじられるが、レミは違う。3月9日放送の『ぽかぽか』(フジテレビ系)では、レミが過去、番組の料理コーナーで、太めのパスタの束をひざで割る、トマトを包丁で切らずに手でにぎり潰すなどの“荒業”を披露したことが紹介された。

 料理だけでなく、私生活でも天真爛漫ぶりを発揮するレミ。 家に空き巣が入ったとき、警察が現場検証に来たが、レミが動き回るので犯人の足跡が消えてしまったなど、ユーモラスなエピソードには事欠かない。『ぽかぽか』で、ほんの少し前に話していたことを忘れてしまい、「だから、なんだって? なんだって?」と聞き返していたところを見るに、天真爛漫はテレビ向けのキャラなどではなく、彼女の性格そのものなのだろう。


 そんなレミを、天真爛漫を通り越して、“適当すぎる人”と見る人もいるかもしれない。けれど、私には、本当に好き勝手にやっている部分もあるが、一方ですごく“緻密で真面目”、かつ“デキる人” なのではないかと思えてならない。

 レミが生み出したヒット商品といえば、「レミパン」。『おしゃべりオジサンとヤバイ女』(テレビ東京系)に、レミが次男の嫁で料理家・和田明日香とゲスト出演した際、例によって自由に動き回っていたが、千原ジュニアは「本当にがさつなら、レミパンを作ることはできない」といった意味の発言をしていた。

 確かにレミパンユーザーの私も同意見だ。実際に使ってみるとわかるが、細部にまで心配りがあると感じる。明日香もレミについて「レシピに関しては、すごく細かい」と言っており、それはプロとして当然ではあるものの、細かなところまで手を抜かない真面目さがあるからこそ 、専門的な料理の勉強をしたわけではないのに、今 の地位を築くことができたのではないだろうか。