仁科友里「女のための有名人深読み週報」

貴乃花と河野景子の娘・白河れいに勧めたい「個性のなさ」が生きるあの仕事

2023/02/09 21:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

米俵を軽々とかつぐ貴乃花(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「お手紙を送りました」白河れい
『踊る!さんま御殿!!』(2月7日、日本テレビ系)

 親が一生涯困らないほどの財産を残してくれるとか、世襲制の仕事で身分が安定しているのならいいが、そこまでではないのなら、有名人の子どもというのは案外生きづらさを背負っているのではないかと思ってしまう。

 例えば、平成の大横綱で、元貴乃花親方の貴乃花光司氏と元フジテレビ女子アナでタレントの河野景子の長男・花田優一。彼は相撲の道を選ばず、靴職人としてメディアに登場したものの、いつしかタレントや歌手、画家としても活動を始め、現在、迷走気味。別の道であれ、偉大すぎる父を追い越そうともがき苦しんでいるように見える。

 では、相撲の道に進んでいればよかったかといえば、そうとも言えないだろう。各界でもまた、偉大な父の存在は、優一を苦しめたはずだ。


 彼は歌舞伎俳優・中村橋之助と幼稚園からの大親友だそう。『歌舞伎 家と血と藝』(中川右介著、講談社現代新書)に詳しいが、歌舞伎俳優にとって大事なのは家柄。市川家など名門の家に生まれた子どもにはいい役がつき、片岡愛之助のように一般家庭出身で歌舞伎界入りした人は、苦労は避けられない世界だという。そう考えると、橋之助は梨園の名門・成駒屋の長男であるため、いい役がつく可能性は高い。

 しかし、優一の父親や叔父、祖父が属した角界はそうはいかない。お父さんがどんなに強くても、子ども自身が土俵の上で結果を残せなければ、上には上がれない。貴乃花氏の残した成績から考えると、仮に優一が角界に入って横綱になれたとしても「だって、あのお父さんの子どもなんだから、当然だよ」「お父さん以上に活躍してほしかった」と言われ、正当な評価は得られないのではないか 。

 そんなわけで、私は優一 にやや同情的なのだが、今度は貴乃花氏と河野の次女で、優一の妹である白河れいが芸能界入りした。

 本人は親に内緒で芸能界入りしたと言っており、2月7日放送の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)でも、「母にも言わない状態で、今の事務所に所属して」「父とも数年会ってなくて、連絡をあまり取っていなかったので(デビューしたことを言わなかった)」「あとでお手紙を送りました」と説明。

 しかし、新人ながら、母親の古巣であるフジテレビの新番組『ぽかぽか』でいきなりレギュラーの座を獲得したことを考えると、いろいろな“お口添え”があったのではないかと想像するほうが自然だろう。


夢でなく、使命で生きる。 根拠なき自信で壁を越える68の言葉 / 花田 優一 著