仁科友里「女のための有名人深読み週報」

瀬戸内寂聴先生に通ずる、YOUのニュー・サバサバスタイル

2023/03/02 21:18
仁科友里(ライター)

『上田と女が吠える夜』の空気を和ませたYOUの自首

 こんなふうにトークが行きすぎたとき、調整を図れるのがベテランの腕なのかもしれない。YOUが突然「だいぶ長く、別れる別れる詐欺をしていました」と独白を始めた。同番組の出演者は、悩み相談で迷惑をかけられた側というテイで集っているはずだが、YOUは自分が迷惑をかけた側だと“自首”したわけだ。

 YOUは「冗談じゃねーよ、もうやってらんねーよ」と彼氏のことを友達に愚痴りつつ、「全然別れない」のだそう。なぜ別れないのかというと「自分がなんか暇になる」から。つまり、そんな彼氏でもいないと寂しいとか、一人になるのが嫌というような消極的な理由で交際を続け、その一方で友達に、愚痴とも相談とも取れる内容の話をしていたということだろう。

 「人からの相談を受けたことで、こんな迷惑をかけられた」というエピソードが過熱すると、一種の断罪になってしまい、番組の雰囲気も出演陣の印象もキツくなるように感じる。しかし、悩み相談で迷惑をかけられた側のYOUが、「かつては、自分も人に迷惑をかけていた」と、“お互いさま”であると告白したことで、スタジオの空気が中和され、番組が見やすくなったように感じた。加えて、出演者個々のイメージダウンも回避されたといえる。

 かねてからサバサバした女の代表格とされてきたYOU。例えば、2015年放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)にゲスト出演した際には、友人の真木よう子を「暗いし、美人だし、おっぱい大きいし、すごい人見知りで面倒くせぇ女だと思ったけど、一皮むけると、すごくチャーミング」と、毒舌交じりに褒めるなど、女の友情にありがちとされる“ベタベタした関係性”に浸っていない自分をアピールしていたように思う。

 しかし、今の時代、こうしたサバサバはあまり肯定的に受け止められないだろう。タレントとして、時代に即したサバサバキャラにアップデートする必要があるわけだ。