仁科友里「女のための有名人深読み週報」

フワちゃん、KARAを3時間待たせた“遅刻癖”こそ、仕事が途切れない理由である

2023/01/19 21:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

テレビに出ずっぱりのフワちゃん(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「本当にすみませんでした」フワちゃん
『行列のできる相談所』(1月15日、日本テレビ系)

 フワちゃんが『行列のできる相談所』(日本テレビ系)のロケで渡韓する予定だったが、パスポートを忘れたために搭乗予定の飛行機に乗れず、アイドルユニット・KARAを3時間も待たせ、番組内で「本当にすみませんでした」と謝罪した――。こんなネットニュースを見て「また?」と思った人もいるだろう。

 フワちゃんといえば、遅刻癖がたびたび報じられてきた。ブレークを果たした2020年には、「週刊女性」(主婦と生活社)が「フワちゃん、多忙すぎて遅刻連発」と報じているし、21年放送の『有吉の夏休み2021』(フジテレビ系)でも集合時間に遅刻し、有吉弘行から「時間だけは守れって言ってるの。自由にやってもいいし、敬語使わなくてもいいから」と指摘されている。が、遅刻癖は直らず、22年の『有吉の夏休み2022』に出演した際も遅刻。理由はわからないが、どうしても遅刻してしまうのがフワちゃんなのだろう。

 日本では、時間に正確な人が多く、時間は守らなくていいという考えの人はかなりの少数派だと思う。フワちゃんの遅刻を報じるネットニュースには「遅刻する人は信用できない」とか「そういう人は仕事がなくなるだろう」とかいうコメントがつけられていたが、私はまったく逆のことを思った。


 フワちゃん、仕事途切れないわけだ。

 バラエティ番組に不可欠なのは、「問題を起こす人」なのではないか。その人が起こした問題をドタバタしながらみんなで解決するという流れを生むからだ。 その時に問題を起こす人と解決する人が激しく対立すると番組が盛り上がるし、最終的にわかり合えれば「みんないい人」と視聴者に思わせることができ、双方が得をする。

 ひと昔前、バラエティで「問題を起こす人」を演じるのは「オンナに嫌われるオンナ」だった。例えば、女医タレントのさきがけである西川史子は、芸能活動を始めて間もない頃、「ブスは生きている価値がない」と発言したことがあるが、こういうオンナ叩きをするオンナの問題発言をフックに 、周囲から反論させる形で番組を作ってきたわけだ。

 しかし、今はそもそも「ブスは生きている価値がない」という発言そのものが重大なセクハラ。 それが同性からであっても女性蔑視 とみなされて“一発退場”だろう。それに、テレビに出ている人は仕事として言い争っているわけだが、フェミニズムに関心が集まる昨今、「オンナによるオンナ叩き」が口火となって、女性同士が言い争うようなシーンを忌み嫌う人もいるかもしれない。

 加えて、テレビ業界全体が番組を作るにあたり、「人を傷つけない」「人に嫌な思いをさせない」 ことを意識していることもあって、オンナによるオンナ叩きはもちろん、広く「人を傷つけ、嫌な思いをさせる言動」で 問題を起こす人を周りが叩くという従来型のバラエティの“お約束”は、通用しなくなっているといえるだろう。


 けれど、「問題を起こす人」がいないと、番組が始まらないことも事実なのである。となると「問題は起こすが、人を傷つけず、嫌な思いをさせない人」が必要になってくる。そう考えた時、遅刻するフワちゃんは、この上なく適した人材ではないだろうか。

【日めくり】まいにち、フワちゃん