ジャニーズ音楽の中では意欲作かつ問題作! Travis Japan「JUST DANCE!」のすがすがしさを解説

2022/11/09 13:00
スージー鈴木

「JUST DANCE!」英語化、短尺化、シンプル化、そしてサビの消失

 と言っても、その世界標準性について、すでに誰もが知る決定的なプロトタイプが存在するので、説明は難しくないだろう。

 そう――BTSだ。

 米国ビルボードHOT100の首位を獲得した「Dynamite」(20年)と「Butter」(21年)。歌詞が英語であることは言うまでもなく、曲の尺も、それぞれ3分19秒、2分44秒と、平成のJ-POPに比べてかなり短い。

 「物足りない感じ」がするかどうかは主観の問題なので意見が分かれようが、尺の短さに加えて、楽曲構造の点からも、何となくシンプルな感じを受け取る人が多いはずだ。

 さて、ここで問題――音楽の変化は何によってもたらされるか? 私の解答は「その最大要因は音楽メディアの変化」。つまり今起きている音楽(作り/嗜好/ビジネス)の変化は、CDからサブスクリプション・サービス(定額制の音楽配信サービス。以下、サブスク)という、音楽メディアの変化によるところが極めて大きいと考える。


 サブスクは、レコードやCDなどパッケージの生産や流通を経由しない配信経由だから「世界進出」が容易となる。だから英語で歌う。

 サブスクは、ユーザーに数十秒聴かせた段階で「1再生」とカウントされ、作り手に収益が発生する。だから長い曲を1回聴かせるより、短い曲を何回も聴かせたい。だから尺が短くなる。

 サブスクは、大抵スマホで「ながら聴き」されている。だから、パッケージの時代に比べて、聴き手の音楽へのコミット度が下がる。その上、尺が短いのだから、変化の激しくない、シンプルな音作りが似つかわしい。

CHEER Vol.7 Travis Japan