サイゾーウーマン芸能韓流韓国映画『キングメーカー』に見る選挙と社会の分断 芸能 [連載]崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 韓国、“政治的な扇動”が問題に……『キングメーカー 大統領を作った男』に見る選挙と社会の分断 2022/08/12 19:00 崔盛旭(チェ・ソンウク) 崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 『キングメーカー』パク・チョンヒ勝利後のキム・デジュン (c)2021 MegaboxJoongAng PLUS M & SEE AT FILM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED. 結局、71年の大統領選挙ではパク・チョンヒが勝利を収めたが、その差が僅差だったことから、キム・デジュンがいかに脅威になったかがわかるだろう。パク・チョンヒはその後、「キム・デジュン殺し」と呼ばれる弾圧を繰り返し、キム・デジュンは交通事故を装った暗殺未遂や拉致事件に巻き込まれるばかりか、政府転覆を図ったとして死刑宣告まで受けることになる。 一方、パク・チョンヒ独裁政権は「死ぬまで大統領」が可能となる「維新憲法」への改憲を実現させるなど、さらに激しい暴走を繰り広げていく。 このように、オム・チャンロクという存在は、韓国にとって「諸刃の剣」にほかならない。キム・デジュンの側に立ち、独裁の横暴に立ち向かう剣になったかと思えば、パク・チョンヒ側に立つと独裁の横暴を許す剣にもなってしまう。そして、その核にあるのは「カルラチギ」だ。 ある新聞は、韓国におけるカルラチギの蔓延について、「イナゴの額のように小さく狭い国が、なぜこれほどまでに分裂しているのか」と嘆いていた。カルラチギという諸刃の剣によって犠牲となるのは、結局は「国民」自身なのである。 崔盛旭(チェ・ソンウク) 1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正 戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻 スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。 Netflix『梨泰院クラス』理解を深める3つの知識! 「梨泰院・財閥・クラス」の社会的背景とは?近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。そんな作品をさらに楽しむために、意外と知らない韓国近現代史を、映画研究者・崔盛旭氏が解説していく...サイゾーウーマン2022.07.15 是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』、鑑賞前に知りたい韓国「ベイビーボックス」の実態 近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。そんな作品をさらに楽しむために、意外と知らない韓国近現代史を、映画研究者・崔盛旭氏が解説してい...サイゾーウーマン2022.06.24 前のページ1234567 最終更新:2022/08/12 19:22 楽天 【輸入盤】1st Mini Album: O!RUL8,2? BTS「八道江山」、慶尚道VS全羅道はこれだったんだ! 関連記事 Netflix『梨泰院クラス』理解を深める3つの知識! 「梨泰院・財閥・クラス」の社会的背景とは?是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』、鑑賞前に知りたい韓国「ベイビーボックス」の実態「同性愛は治療で治る」韓国・ユン大統領秘書の発言が炎上! 映画『私の少女』が描く「LGBTと社会」の現在地Netflix『未成年裁判』は“ほぼ実話”? モチーフになった事件と、ドラマで描かれなかった「犯行動機」のうわさ映画『野球少女』で描かれた、韓国初の女性野球選手はいま――物語とは決定的に異なる「悲しい」結末 次の記事 スノ・深澤、「国宝級イケメン」2位は複雑 >