サイゾーウーマン芸能韓流韓国映画『キングメーカー』に見る選挙と社会の分断 芸能 [連載]崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 韓国、“政治的な扇動”が問題に……『キングメーカー 大統領を作った男』に見る選挙と社会の分断 2022/08/12 19:00 崔盛旭(チェ・ソンウク) 崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 『キングメーカー 大統領を作った男』あらすじ (C)2021 MegaboxJoongAng PLUS M & SEE AT FILM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED. 政治家として世の中を変えたい一心で選挙に挑み続けるも、落選続きでなかなか前に進めないキム・ウンボム(ソル・ギョング)のもとに、彼と志を共にしようとする男、ソ・チャンデ(イ・ソンギュン)が現れる。選挙参謀になったチャンデは、正当な戦法を求めるキム・ウンボムの意に反して狡猾な戦略を次々と編み出し、劣勢の状況にもかかわらず次々と当選させていく。 そしてついに、キム・ウンボムは党を代表して大統領選挙に出馬する候補にまで選出される。本格的な選挙戦が始まる中、キム・ウンボムの自宅で予期せぬ爆破事件が発生。容疑者としてソ・チャンデが浮上したことで、2人の関係は揺らぎ始める……。 本作が韓国で公開されたのは、今年3月9日の大統領選挙投票日を2カ月後に控え、国中が選挙で熱くなっていた1月。選挙に対する国民の関心の高まりに合わせて公開すれば、興行的に有利になると考えるのは当然だが、カルラチギの応酬に対して一石を投じる目的もあったかもしれない。 だが結果は、映画が提起する問題意識を受け止めるコメントが散見された一方で、映画そのものを「アカの扇動映画」だと警戒し、罵倒する声も少なくなかった。 現在もなお反共精神が韓国に深く根付いていること、そして想像をはるかに超えてカルラチギが韓国社会に浸透していることに失望を禁じ得ないが、反共精神はどうしてここまで国民の意識に深く刻み込まれてしまったのだろうか? 『キングメーカー』のストーリーに沿って、カルラチギが本格化した時代を振り返りながら考えてみたい。 次のページ 『キングメーカー』の主役キム・デジュン元大統領と「実質的な主人公」 前のページ1234567次のページ 楽天 【輸入盤】1st Mini Album: O!RUL8,2? 関連記事 Netflix『梨泰院クラス』理解を深める3つの知識! 「梨泰院・財閥・クラス」の社会的背景とは?是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』、鑑賞前に知りたい韓国「ベイビーボックス」の実態「同性愛は治療で治る」韓国・ユン大統領秘書の発言が炎上! 映画『私の少女』が描く「LGBTと社会」の現在地Netflix『未成年裁判』は“ほぼ実話”? モチーフになった事件と、ドラマで描かれなかった「犯行動機」のうわさ映画『野球少女』で描かれた、韓国初の女性野球選手はいま――物語とは決定的に異なる「悲しい」結末