サイゾーウーマン芸能韓流『梨泰院クラス』理解を深める3つの知識 芸能 [連載]崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 Netflix『梨泰院クラス』理解を深める3つの知識! 「梨泰院・財閥・クラス」の社会的背景とは? 2022/07/15 19:00 崔盛旭(チェ・ソンウク) 崔盛旭の『映画で学ぶ、韓国近現代史』 『梨泰院クラス』で描かれる韓国財閥と日本の関わり 財閥は日本では占領期にアメリカによって解体されたため、過去の遺物となった感が強いが、韓国では巨大企業を示す言葉として、現在も十分に健在。韓国独特の政治・経済的背景の中で生まれた翻訳不可能な単語として、韓国語読みの「チェボル(CHAEBOL)」がオックスフォード英語辞典にも掲載されているほどだ。 コラムではこれまで何度となく、韓国の近現代史がいかに「政経癒着」に彩られてきたかを取り上げてきた(『パラサイト 半地下の家族』『国際市場で逢いましょう』『アシュラ』を参照)。政経癒着とは、政権が特定の企業に対してありとあらゆる政策的恩恵を与え、企業はそのお礼として政治資金という名目のリベートを支払うといった、権力と金の不正な結託のことを指している。 建国まもない1948年、李承晩(イ・スンマン)政権は、工場や土地など植民地時代に日本が残した帰属財産を、より多額のリベートを約束した業者や、コネのある業者にほとんど無償で払い下げた。もちろん業者は見返りとして莫大なリベートを払い、政権から税金や負債の減免といった便宜を図ってもらいながら、会社の規模を拡大、財閥の土台を固めていったのである。 そして、その後の朴正煕(パク・チョンヒ)から全斗煥(チョン・ドゥファン)に続く軍事政権では、経済開発計画や国土開発事業などの政策の中で、政経癒着を通して財閥としての確固たる地位を築いていく。2018年度の韓国の輸出データによると、総額の3分の2を上位30位の財閥が占めていたことからも、韓国経済が今なお財閥に深く依存していることがわかる。 次のページ 『梨泰院クラス』で多用される「カプチル」の意味とは? 前のページ123456次のページ 楽天 Yahoo セブンネット 梨泰院(イテウォン)クラス オリジナルサウンドトラック 関連記事 韓国ドラマ通が語る、『梨泰院クラス』日本版リメーク『六本木クラス』の懸念点とは?是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』、鑑賞前に知りたい韓国「ベイビーボックス」の実態「同性愛は治療で治る」韓国・ユン大統領秘書の発言が炎上! 映画『私の少女』が描く「LGBTと社会」の現在地Netflix『未成年裁判』は“ほぼ実話”? モチーフになった事件と、ドラマで描かれなかった「犯行動機」のうわさ映画『野球少女』で描かれた、韓国初の女性野球選手はいま――物語とは決定的に異なる「悲しい」結末