サイゾーウーマンコラム母を看取った30代女性が冷静に考えたこと コラム 老いゆく親と、どう向き合う? 「今日がヤマ」と言われてから2週間……30代シングル女性が冷静に見つめた母の“最期のとき” 2022/05/01 18:00 坂口鈴香(ライター) 老いゆく親と、どう向き合う? 母の最期と父の興奮 そして、がんばってきた晃子さんの最期のときが来た。 「1週間くらい、ときどき10秒くらい息が止まることがあったんです。『はい、息して!』と呼びかけたりしていたんですが、このときも母が大きく息を吸って、吐いて、また呼吸するだろうと思って待っていたら、それが最期でした。これがあの最期にするという下顎呼吸だったのか、と冷静に考えていました」 「今日がヤマ」と言われてから2週間。晃子さんの最期に立ち会えたのは、貴重な時間だったと中村さんは振り返る。 「いずれ私も死ぬんですし。最後の医師の処置なども興味津々でじっと観察していました」 博之さんは、晃子さんの死を理解していたのだろうか。 「母が息を引き取ってまもなく昼食の時間になって、食堂に行く途中にある母の部屋にいつものように入ってきました。母に近寄ると、『生きてる』と言ったんです。それから、食事をしたあとにまた部屋に入ってきて、看護師さんが処置をしてくれている母の姿を見て、『アーメン』と。亡くなったとわかったのかな、と思いました」 晃子さんの部屋を片付けたあと、葬儀社が引き取りに来るまでに、最期に晃子さんに会うならこのときしかないと、博之さんを呼んだ。 「でも父はなかなか動きません。ようやく連れて行ったら、突然大声で『死んでる!』と。それからは興奮してしまって、戻らなくなりました。葬儀社の方が見えて母を外に出そうとすると、父も興奮したまま外に行こうとする。それをスタッフが止める……ほかの入居者がそれを見ると、母の死に号泣している父の悲しい別れの場面に見えたらしく、ほかの方たちももらい泣きされていて……なんだか不思議に笑える光景でした」 こうしてものごとを俯瞰的に見ることができたのは、いかにも中村さんらしい。 ――続きは5月15日公開 前のページ12 坂口鈴香(ライター) 終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。 記事一覧 最終更新:2022/05/01 18:00 Yahoo 家族を看取る—心がそばにあればいい 國森 康弘 A:綺麗 J0580B 自分は冷静に受け止めることができるかな 関連記事 末期がんの母の思い「お父さんと一緒に過ごしたい」――30代シングル女性が選んだ、両親“最期の住まい”「まだ死ねん」と鼓舞する100歳の夫、「死にたい」と泣く妻と生きる“超老々介護”の日々ケアマネは見た! 50代の娘が引きこもりに……富裕層の暮らしから一転、エリート家族の闇【前編】85歳でも運転免許を返納しない母、娘の説得に「恩知らず」と逆上! 父は「ママは運転がうまい」と甘やかすが……仲良し姉妹の「3世帯同居」、母の介護も「妹と協力していけば大丈夫」と思っていたが…… 次の記事 “リボ負債額”100万! ジュエリーショップはホスト!? >