サイゾーウーマンコラム黒猫ドラネコの“教祖様”注意報『ねほぱほ』信仰を押しつける母問題 コラム 【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報 『ねほりんぱほりん』で描かれた「親が“神様”を名乗る」問題は深刻? 信仰を押しつける母と、子どものつらい人生 2021/11/29 21:00 黒猫ドラネコ(ライター) スピリチュアルコラム黒猫ドラネコの“教祖様”注意報 【親が“神様”を名乗る人】 はじまりました!! 今夜登場するのは母親が“神様”を名乗る女性。 ようやく語れるようになった過去に耳を傾けます!#ねほりんぱほりん pic.twitter.com/GfLIXaUPW5 — NHK ねほりんぱほりん (@nhk_nehorin) November 12, 2021 ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。 11月12日にNHK Eテレで放送された『ねほりんぱほりん』は、「親が“神様”を名乗る人」がテーマでした。除霊ができるなどと豪語する母親のもとに生まれた30代女性のインタビューで、どぎつい話もありましたが、人形劇で進む番組のスタンスもあってか緩いトーンだったため、思ったよりも救いのある展開でホッとしました。 物心ついた頃から、母親は「独自の宗教」のような団体で“教祖様”として君臨。女性は日常の全てを母親に「霊」と結びつけられ、「集まって瞑想」「邪気をお祓い」「手から念を送る修行」などの不可思議な日々を送っていたそう。まさに、生まれた時からエセ・スピリチュアルが身近にある状態です。 自ら「お母さんは神様だから」とかたる親。その様子を学校でもうわさされ、女性はイジメを受けます。それでも母親には「あなたが引き寄せたのよ」(スピリチュアル界隈でよく聞く言い回しですね)と言われるなどし、高校生の頃に性的被害に遭って自殺未遂をしたときですら、「信仰が足りないからそんな目に遭うのよ。ざまを見なさい」と罵られたエピソードは強烈でした。 ただ、女性がそんなキツすぎる母親と関わらないで生きていくにはどうすればいいかを考え、遠く離れて暮らしたいと猛勉強して、環境を変えられたのは救いだと思います。離れてから、女性は精神的な治療も受け、母親と初めての大ゲンカをし、今では「遺産目当て」で交流しているとのオチも。何より、こうした番組に出られたことからも、苦難を糧に明るく生きているということがうかがえました。 しかしながら、この女性のように意志を強く持ち、自分の中で折り合いをつけられる人ばかりではないでしょう。信仰の自由が尊重されるべきなのに、親の信仰を押し付けられて苦しむ「宗教二世」の問題は、かなり深刻だといえます。『ねほりんぱほりん』のような例だけでなく、教育の機会が限定されたり、暴力で縛られたり、一般社会で生活を送る道筋を立ててもらえず、つらい人生を送る人も知っています。 また、ここまでの被害を受けていなくても、スピリチュアル好きが高じて“プチ教祖”や“信者”と化した親との関係に悩まされる人は、案外多いのではないでしょうか。私のもとにはよく「実家にいる母親が、いつの間にか子宮系スピリチュアルにハマってしまった」「母親がスピリチュアル系の資格を取るために高額セミナーに通っている」などの相談が来ます。子どもが成人してもなお、親子関係にエセ・スピリチュアルの魔の手が迫ることは珍しくないのです。 次のページ 『ねほりんぱほりん』で思い出す、絵本作家・のぶみ氏らの“思想” 123次のページ 楽天 カルト宗教信じてました。 関連記事 「もう私、死んでいい!?」子宮系女子のスピリチュアルにハマった妹が豹変! 本当にあった“スピ被害”体験談3選スピリチュアルな教祖様たちも、「反ワクチン」に傾倒? 陰謀論を“利用”する人々の実態のぶみ氏の絵本が書店に置かれる危うさとは? 「子どもは親を選んで生まれる」と主張する医師との関係を繙くスピリチュアル系アイドル「バイ柴49」500万円集めたクラファンに疑問……嵐、ももクロのスタッフも協力、“参加費100万円”の行方は西野亮廣『えんとつ町のプペル』、「瞑想アイドル」のアルバムが大ヒット……“教祖様”が一般化することへの懸念