サイゾーウーマンコラム黒猫ドラネコの“教祖様”注意報“教祖様”が一般化することへの懸念 コラム 【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報 西野亮廣『えんとつ町のプペル』、「瞑想アイドル」のアルバムが大ヒット……“教祖様”が一般化することへの懸念 2021/02/23 14:00 黒猫ドラネコ(ライター) スピリチュアルコラム黒猫ドラネコの“教祖様”注意報 ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。 『えんとつ町のプペル』公式サイトより その動きの速さには驚くばかりです。先月の当コラムで「2021年最も注目している“教祖様”の動向」として、自称スピリチュアリスト・happyを挙げ、「世間から『有名人』『すごい人』と誤認されないように注視していきたい」と記しました。最近、芸能界に急接近し、芸能人のような活動もしている彼女ですが、このほど「歌手デビュー」を果たしたんです。信じられない出来事ですが、今回はこの現実についてお知らせしたいと思います。 『えんとつ町のプペル』っぽい演出を盛り込んだhappyのステージ アーティスト名は「SACHI TAKEKOSHI(サチ・タケコシ)」。これは彼女の本名です。これまでも自身が手がけた多くのスピリチュアル・イベントで、オリジナルソングを披露してきたのですが、それら10曲(オフボーカルも10曲)を収録したアルバム『SPiN』が、1月13日に発売されました。SpotifyやApple Musicなどでサブスク登録すれば曲を聞くことができますが、再生するごとにアーティストに課金される仕組みになっているようなので、興味のある方はご注意ください。 SNS上では「人類意識研究家」「瞑想アイドル」などと自称し、「HAPPY理論研究所」と称したオンラインサロンの運営で熱心なスピ好き信者を抱えているだけあって、アルバム購入率も高かったのでしょう。インスタグラムでの宣伝効果か、発売直後のiTunesデイリーランキングで一時的とはいえ、なんと3位を獲得。嵐、米津玄師、LiSA、ヒプノシスマイクと競り合うという、凄まじい「信者ビジネス」の力強さを示したのです。何も知らない人がランキングを見て「何者だ?」と興味を抱いてもおかしくありません。ランキングに入ること自体が、happyにとってはいい宣伝になったでしょう。彼女は自身のSNSで喜々としてランクインを報告していました。 happyはアルバムをリリースした勢いそのまま、1月14日に東京ドームシティーホールにて有観客のファーストライブを敢行。このあたりの行動力と資金力は、あまたのスピリチュアル教祖様の中でも抜きん出ています。私は今回も一応、昨年のhappy主催イベント「シンデレラ・プロジェクト」に続いてライブに“潜入”。さすがに会場に出向くことはできず、5,000円のオンラインチケットによる観覧でした。来場用はペンライトがついて7,000円、舞台裏などが見られる特別チケットは、なんと5万円だったようです。 視聴した限り、感染予防で1席ずつ空いていたとはいえ、最大収容3,000人のほぼすべてが埋まっている状態(さすがにお客さんはみんなマスクをしていました)。オンライン視聴者数は、私が確認できた範囲の表示で、最大1,500人ほどでした。音響や演出は「シンデレラ・プロジェクト」と同じくプロ仕様。約2時間のライブはhappyの歌メインで、彼女お得意の“スピったMC”をいちいち挟まなかったことはよかったと思います。数人のダンサーを従えたhappy自身も、ペンライトを振るファンも楽しそうで、オリジナルのうちわやバルーンを掲げるなど、興奮の坩堝(るつぼ)と化していました。 さて、特筆すべきはこのライブを通じた演出。ステージ上のスクリーンでは終始オリジナルのアニメーションが流され、そのストーリーに合わせたような曲が始まり、happyが衣装を替えては歌いだす、という展開が続きました。そのアニメの内容は、「ブリキの人形たちが住む世界」「自由になるため絵本の中を旅する」というもので、最近どこかで見たような……。そうです、昨年末に公開されたキングコング・西野亮廣さん製作総指揮・監督・原作の映画『えんとつ町のプペル』へのオマージュに見えて仕方ありませんでした。同じようなテイストのアニメを使うには、あまりにもタイミングがよすぎませんか? happyなりの西野作品へのエールだったのかもしれません。というのも、2人は旧知の仲で、何度も対談やトークショーなどでの共演があります。オンラインサロンを運営しているのも共通点ですね。怪しいスピリチュアル界隈や子宮系女子に西野さんのファンが多いのは、数年前からhappyやその取り巻きが熱心に西野さんをイベントに招き、今のような文化人的立ち位置を確立するまで、熱心に支持を続けてきたからといっても過言ではありません。 次のページ 「教祖様」が“一般化”することは、誰もが「信者」になり得るということ 12次のページ 楽天 Yahoo セブンネット えんとつ町のプペル 関連記事 てんちむ&堀江貴文と急接近した「自称スピリチュアリスト」、心屋仁之助氏は“歌手”に転身! 2021年の注目教祖様西野亮廣、『映画 えんとつ町のプペル』公開! 大ヒット間違いなしと話題も……「胡散臭さがどうしても拭えない」ワケスピリチュアルと芸能人の怪しいつながり――元KAT-TUN・田口淳之介、ブルゾンちえみが共演した“教祖様”の正体小林麻耶の夫・あきら。(國光吟)の“スピリチュアル動画”を検証――「遠隔施術」を生業にする彼の正体10万円の入場券、55万円のカラオケ大会……“金”が飛び交うスピリチュアルイベント「シンデレラ・プロジェクト」潜入レポ