仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

大ブレーク芸人・ヒコロヒーは“やさぐれキャラ”だけど……「売れても変わらない」を求める、真面目な“人間性”に思うコト

2021/08/06 14:30
仁科友里(ライター)

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今週の有名人>
「スターになっていくにつれて、ちょっとだけ、こう、アレだなと思う人も多い中……」ヒコロヒー
『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系、8月3日)

 売れた芸能人が「たまたま売れた」と自己分析することがある。「運やタイミングが味方してくれた」という意味を含んでいるのだろうが、同業者から見れば、やはり「売れる人は売れるべくして売れた」と思うのではないだろうか。

 8月3日放送の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で「もしも新しくコンビを結成するのならあの女芸人と組みたい!」として、6人の女芸人が新しい相方を、ドラフト形式で1~3位まで指名する企画が行われた。多くの女芸人が「組みたい」と名前を挙げたのは、阿佐ヶ谷姉妹・渡辺江里子とヒコロヒー。2人とも、今をときめく売れっ子であることは説明するまでもないが、女芸人たちがお笑いの能力や性格的な相性、今後の展望まで冷静に考えて指名していたのは興味深かった。


 渡辺はお笑いの能力はもちろん、妊婦だった横澤夏子の体調を気遣ったり、先に現場を出る時に手紙を残していったりと、普段の優しさや心遣いを高く評価する声が多かった。対するヒコロヒーは、借金や遅刻癖がほかの番組でもよく話題になる。しかし、こういう“悪癖”があるにもかかわらず、多くの女芸人が「一緒に組みたい」と名前を挙げるということは、そこを差し引いても芸人として、人として魅力的なのだろう。

 確かに、同番組での発言を見ていると、“やさぐれキャラ”で売っているわりには気遣いというか、相手を立てるタイプだと感じる。たとえば、ゆりやんレトリィバァはヒコロヒーと組みたい理由として、「何言っても怒らない感じがいい」「自分をどう扱うのか」などと自分中心で話すのに対し、ヒコロヒーは組みたい相手のいいところを紹介して、自分の話はほとんどしなかった。

 もちろん、“いい人”なだけではない。番組内で、ヒコロヒーは3位に選ばれることが多かったため、「3番目の女って、誕生日プレゼントで写真入れもらいがち」と自虐をした。さらに、3時のヒロイン・福田真紀に関しては「つぼみという吉本の安いアイドル、大阪の面白いアイドルを目指していた点がやや信用できない」と毒も吐いてみせた。

 その一方で、わりと繊細というか、「売れて変わる」人に対して“潔癖”なのかなと思う部分もある。ヒコロヒーは平野ノラを2位に選んでいたが、彼女がバブルネタで大ブレークしている最中、仕事で一緒になることが多かったそう。その際、「私みたいな人間って、そういう時期に人がどういう対応をするのかって、ちょっと見させていただいてる部分がある」「平野ノラさんはどれだけ忙しくても、すごく丁寧」と話していた。要は、売れているからといって、横柄な態度を取る人が気に入らないということだろう。

 ヒコロヒーはメイプル超合金・安藤なつを1位に選び、その理由も「スターになっていくにつれて、ちょっとだけ、こう、アレだなと思う人も多い中、なつさんは今でも変わらない」と話していたから、「売れても変わらない」はヒコロヒーにとって、大事なポイントなのかもしれない。


 ここで思い出すのは、元おニャン子クラブで女優の国生さゆりが『HEY!HEY!HEY!』(フジテレビ系)で「売れていた時代」を振り返ったときのエピソードだ。

きれはし