“噂の女”神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第560回】

ジャニー喜多川さんが逝って2年、ジャニーズが世界進出できなかった原因と皮肉な変化

2021/07/13 21:00
神林広恵(ライター)

“ジャニーズではない”という理由だけで潰され続けてきた才能

 長い間、いや、つい最近まで日本の男性グループアイドルはジャニーズの独占状態にあった。ジャニーズ以外では存在すら許されない、デビューできない、デビューしても潰されるというのが常識だった。たとえば1997年のデビュー直後から大きな人気を博したDA PUMPは、ジャニーズに睨まれ、テレビ局や音楽番組にまで圧力かけられ、その後は長い低迷期を送らざるを得なかった。

 DA PUMPの弟分で2001年にデビューしたw-inds.も、ジャニーズとの共演はNG、地上波での出演はほとんどなく、05年結成のAAAに女性メンバーがいるのもジャニーズの圧力対策だといわれた。また三浦大知も1997年デビューの Folder時代からジャニーズに目をつけられ、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初出演したのはデビューから19年もたった2016年のこと。このように長年ジャニーズは、ジャニーズ以外の“踊って歌える”男性アイドルグループを敵視、排除してきたのだ。

 その結果、何が起こったのか。日本ではジャニーズとメディアの癒着関係において、ジャニーズの男性アイドルグループが独占状態になったが、しかし大きな目で見ると、日本のエンタテインメント界においては、大きな痛手だったのではないか。新しい才能が“ジャニーズではない”という理由だけで潰され続けてきたからだ。ライバルがいなければ、それ以上の成長もない。世界進出なんて夢のまた夢――。

 しかし、こうした状況も少しずつ変わりつつある。SKY-HIがオーディションを行う「THE FIRST」や、『PRODUCE 101 JAPAN』によって誕生したJO1など“ジャニーズ以外”の男性グループが注目を浴びつつあるからだ。日本でもワールドワイドな男性アイドルグループが誕生する可能性も!? だが、こうした状況もジャニー喜多川氏の逝去から生じた“変化”だとしたら――皮肉なことだ。

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