【連載】わが子から引き離された母たち

車に監禁されて離婚届にサイン! それでも、元夫との共同養育がうまくいっているワケとは?

2021/07/17 16:00
西牟田靖

親の機嫌をうかがうような子どもにはなってほしくなかった

――証拠を積み上げていくうちに、局面が変わっていったりしましたか?

 そうですね。娘が小学1年生、7歳だったときの調査官調査の実施に結びつきました。それは、私と一緒にいるときとBと一緒にいるときの2日間4時間ずつ、実施されました。

――その結果はどうでしたか?

 「お母さんと一緒にいるときのほうが、ちゃんと自分の意見も話すし、楽しそう」と書かれました。一方、「父親といるときは、娘さんが父親(B)に『これさあ』とか言って、一生懸命共有しようとするけども、父親はそのことに気がつけていない。このままだと、将来、父親は娘に見放されてしまう」と記されてしまった。

――ずいぶん態度が違っていたんですね。


 しかも娘は調査官調査の中で、カレンダーを指さしながら「この日からこの日まではパパの家、ここからここまではママの家にいたい」という具合に意思表示をしたんですよ。それが1週間交代の共同養育につながっていくわけです。

――それは娘さんの意思なのですか?

 「外国では、2つのおうちで子どもたちが過ごしているんだよ」と私が娘に話していたのが影響したのかもしれません。「パパとママはケンカをした。今はあなたが誰と暮らすかをパパが決めているけど、本当だったら決めるのはあなただよね。あなたが決めるのを、パパとママがお手伝いしたいの」って話していました。

――子どもの意思を尊重していますね。裁判所でも、そうしたんですか?

 はい。裁判所のおじさんたちと話をするということも、調停の2カ月ぐらい前から娘に話しました。「裁判所は、自分の気持ちをちゃんと言っていい場所なんだよ。ママがあなたを守ってあげたいから、ママと一緒に、そういう話をおじさんたちにしてみよう」って。


――なぜ、そこまでしたのでしょうか?

 この子は一生、自分の気持ちを我慢する子になっちゃうのではないかと心配だった。同居親の機嫌をうかがうような子どもには、なってほしくなかったからです。

子どもを連れて、逃げました。