【連載】わが子から引き離された母たち

義母との関係や夫のDVに耐えられず、子どもを置いてプレハブ小屋へ避難! 28歳で再婚した女性の告白 

2021/07/16 16:00
西牟田靖

お葬式の後に突然プロポーズ

――Bさんの実家での同居を承諾したのは、いつですか?

 ほどなく義父が亡くなってしまって、お葬式に参列したんです。そのときですよ。Bにプロポーズらしい言葉をかけられたのは。「お母さんがひとりになっちゃうから、ここの家で暮らしていこう」って。28歳のときでした。

――お葬式でのプロポーズ! 強引ですね。

 当時、むしろ「頼もしい」って思いました。「実家のことを、それだけ真剣に考えてるんだ。だったらそれに付き合ってもいいかな」って。

――何も条件は出さなかったんですか?


 出しました。「30歳までは水商売は続けたい。そのことをあなたのお母さんが理解してくれるなら、一緒に住んでもいい」って。するとBは、「そのことは、もうお母さんに言ってあるから大丈夫」と言うんです。

――実際、Bさんはお義母さんに話していたんですか?

 それが、言ってなかったんです。同居してしばらくたったとき、義母に言われました。「あんた、いつまで夜の仕事なんかやってるの?」って。それでBに問いただしたら、「何の話?」って。

――約束を破ったんですか!

 それだけではありません。もうひとつ嫌だったのは、日曜に妹さん一家が来ることでした。夫婦は子ども2人を実家に預けて、日中出かけるんです。


 私が義母の立場だったら、面倒を見てあげたいし、ご飯を食べさせたり、お風呂に入らせてあげたいって思うのかもしれない。でも、そうなると私が耐えられない。毎週、私が子どもの世話をしたり、みんなが帰った後にドロドロの風呂なんて入れないって思ったんです。

――Bさんだけでなく、家族ぐるみで、利用されているじゃないですか。

 そうなんです。だから私、我慢できなくて。Bに言ったんです。「実家から出てアパートで暮らさない? あなたひとりでお母さんに会いに行ってあげればいいじゃない?」と。すると「アパートには引っ越さない。消防団をやってるし」とか言って渋るんです。

――関係性がズレていきそうですね。

 「付き合いきれない」って思いました。それで私、ひとりで家を出てアパートを借りたんですよ。車で15分ほどの距離のところに。同居したのは、結局4カ月だけでした。

子どもを連れて、逃げました。