オンナ万引きGメン日誌

ポメラニアンに高級熱帯魚まで……連続“生体”万引き犯は、ペットコーナー常連客だった! 驚きの手口と動機とは?

2021/06/26 16:00
澄江(保安員)

「いや、払ったけど……」否認する犯人から高額熱帯魚を取り戻せ!

 レジに向かうだろうと思いつつ、ペットコーナーをあとにした男性を追尾すると、不必要なくらいの早足で人気のない通路に入っていきました。慌ててあとを追うと、ちらりと後方を確認してから柱の陰にしゃがみこんだ男性は、アジアアロワナの入ったビニール袋と登録書類をトートバッグに隠しています。

 生体をバッグに隠す人を見るのは、これが初めてのこと。予想外の展開に動揺しながら努めて冷静に動向を見守ると、そのままレジに入った男は、ろ過槽用のウールと活性炭、コオロギが入った虫かごだけの精算を済ませるようです。ひとりで声をかけるのが心細く、サポートを求めるべく周囲を見回すも、店長や従業員の姿は見当たりません。仕方なく自分ひとりで声をかけることに決めた私は、駐車場に出た男が青いスポーツカーの扉を開いたところで声をかけました。

「お兄さん、すみません」
「へ?」
「お店の保安ですけど、精算されていないものがあるので、お声かけしました」
「いや、払ったけど……」

 平然と言いきるので、盗んだものを具体的に指摘して、事務所への同行を求めます。

「そのバッグに入れたアロワナのことですよ。お話聞きたいので、事務所までご足労いただけますか?」
「…………」
「防犯カメラの映像もあるし、車のナンバーもわかっていますから、きちんとされたほうがいいですよ」
「うん、すみません」


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