オンナ万引きGメン日誌

ポメラニアンに高級熱帯魚まで……連続“生体”万引き犯は、ペットコーナー常連客だった! 驚きの手口と動機とは?

2021/06/26 16:00
澄江(保安員)
写真ACより

 こんにちは、保安員の澄江です

 最近は、仕事でホームセンターに行く機会が増えてきており、捕捉数は少ないものの、高額事案にあたる確率が高まっています。つい先日は、仲間が資材館における軽ワゴン車を利用した大量盗難を見逃してしまったそうで、十分に注意して勤務にあたるよう指示されました。巡回の基本は店内ですが、値段が高騰している材木や高価な観葉植物の転売事例が増えてきていることから、資材館や屋外売場にも気を配る必要があるのです。

 また、福岡県内のホームセンターでは、ペットコーナーで販売されていた小型犬(生体)のポメラニアン(59万円相当)を盗んだとして、無職の男(64歳)と女(50歳)が逮捕される事案が発生しました。盗んだポメラニアンは逃げてしまったと供述しているようですが、同店では3月に豆柴も盗まれている事実があることから、転売目的による犯行と疑われており、引き続き捜査されています。

 数年前、ホームセンターのペットコーナーにおける触れ合い体験中にトイプードルを持ち去った高校生のカップルが逮捕されたこともありましたが、命をモノのように扱う所業は愛犬家として許せず憤怒した次第です。今回は、過去に捕らえた“生体泥棒”について、お話ししたいと思います。

 当日の現場は、東京の端に位置する巨大ホームセンターS。生活館、工具館、資材館、植物館、ペット館など、複数棟の広大な売場が連なる巨大施設です。同じ敷地内に、書店や衣料品店、ドラッグストアなども併設されておりますが、巡回するのはホームセンターのみ。現場指示書の片隅にある特任事項欄に、マークしている人物の行動確認を希望されていると記載があるので、どことなく俳優の六角精児さんに似ている黒縁メガネの店長に尋ねると、デスク上に並ぶファイルを手に取って広げ、対象人物の写真を見せてくださいました。


「この男の人なんだけどね。毎日のようにペットコーナーでみかける常連さんなんだけど、来るたびにおかしな動きをしていてさ。今日も来ると思うから、もし来たら見てもらえますか?」
「ペットですか?」
「そう。熱帯魚を飼っている人みたい」

 開店に合わせて現場に入ると、平日の午前中であるため客足は寂しく、来店者の確認は容易な状態にありました。広い店内を右往左往して不審者を探し回るも、大過なく時間だけが過ぎていきます。夕方になって客足が徐々に伸びてくると、少し慌てた様子の店長が駆け寄ってこられて言いました。

「熱帯魚の人、いま駐車場にいたから、もうすぐ入ってくるよ」

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