映画『ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染』公開インタビュー

40代から海外進出、そして「劇団四季」オタクに!  釈由美子さん「毎週月曜に“推し役者”さんをチェックしてます」意外な“大人デビュー”を直撃!

2021/06/22 15:00
木森さえ
40代から海外進出、そして「劇団四季」オタクに!  釈由美子さん「毎週月曜に推し役者さんをチェックしてます」意外な大人デビューを直撃!の画像1
(C)サイゾーウーマン

 映画『ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染』が7月2日に公開される。謎のウイルスによって感染爆発が起こったホテルを舞台にした“パンデミック・ホラー”で、まるでコロナ禍を予言したかのような映画として、ネット上で早くも話題になっている。

 また、本作は女優・釈由美子さんの海外進出作第1弾で、夫のDVから逃れ、異国に逃げてきた臨月間近の妊婦・ナオミを演じている。ウイルス感染者が続出するホテルに運悪く泊まってしまったナオミは、やがて体に異変が現れ始め、逃げ場のない状況でうめき、叫び、のたうち回る……そんな体当たりの熱演を見せた釈さんに、世界各国の映画祭では絶賛の声が飛んでいた。

 今回は、映画公開に先立って、映画への思いや私生活について釈さんにインタビュー。海外作品に出演した経緯や、40代から新しいことに挑戦する理由、そして意外な“ハマっていること”も教えてもらった。

床を這いつくばり、目をひん剥いた3週間の撮影

――劇中のセリフはほとんど英語でしたが、とても流暢な釈さんに驚きました。

釈由美子氏(以下、釈) いえいえ……そこ、一番恥ずかしいところなんですけど(笑)。昔は『英語でしゃべらナイト』(NHK)に出演させていただいてたんですけど、番組を卒業して10年以上たっているので、この映画の話をいただいた当時は、英語がまったくできなくて、ゼロからのスタートでした。


 撮影は2019年1月にカナダ・モントリオールで行いましたが、マネジャーも伴わずに単身で向かったので、「英語、どうしよう……」というのが一番の問題に。出演が決まり、撮影が始まる3カ月前くらいから英語のコーチングスクールに行ったり、オンライン英会話とかをやってました。

――初の海外作品ですが、単身で撮影に臨まれたのですね。撮影はどのくらいの期間でしたか?

釈 1人で3週間くらい行ってました。今回の映画はウイルスの感染爆発がテーマなのですが、撮影時期は19年1月。まさか、撮影後に新型コロナウイルスが蔓延する世の中になるなんて……本当にビックリしています。

――釈さんは16年6月に長男を出産されていますが、英語の勉強と子育ての両立は大変だったのでは?

 子どもは小さいし、ほかの仕事もあったので、英語の勉強にかけられる時間は少なかったです。どこで時間を捻出できるだろうと考えたら、朝しかなかったので、早朝4時にフィリピンの先生とレッスンをしたり。そうやって、最低でも1日3時間くらいは英語を勉強してました。それでも全然追いつけなくて、「付け焼き刃の英語って本当にダメだな」って、反省。日々ちゃんと英語を使わないと、仕事では通用しないと後悔しています。


――映画の脚本を読んだときの印象を教えてください。

 脚本が全部英語だったので、まずこの仕事をやるかやらないかの判断をする前に、自分で翻訳しなきゃいけなかったんです。もともと学生時代から英語は苦手でしたが、たとえば「床を這いつくばる」とか、学校で習わないような単語も出てきて。「これはなんだ?」と思ったものを逐一、辞書で調べながら読みましたね。

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(C)2020 THE HORRORS OF HALL PRODUCTIONS INC

 とはいえ、たとえ日本語で書いてあっても、過去と現在の回想シーンなど時系列が複雑なので、脚本を理解するのには時間がかかったと思います。それでも台本からゾクゾクする感じが伝わってきたので、すごく撮影が楽しみでしたね。フランチェスコ・ジャンニーニ監督はまだ若手ですが、彼が今まで手がけた作品はとても映像がきれい。色遣いが日本の作品とは違うので、自分がその絵の中に入れるのはうれしかったです。

――釈さん演じるナオミは重要な役でしたが、撮影で苦労したことはありますか?

 撮影の際は「ステージ」を意識する必要がありました。ウイルスに感染したあと、「第1ステージ」は体がちょっとおかしくなる違和感。そこから次第に体が痛くなるとか、呼吸が浅くなるステージに進んで、最終的に筋肉が硬直して動かなくなるのが「第4ステージ」といった段階を表現するんです。でも、撮影はこの順番通りには進まないので、いきなり床を這うところからスタート(笑)。また別のシーンを撮るときに逆算して、「最初のステージはどのくらいの症状かな?」と考えていましたね。