白央篤司の「食本書評」

『直売所、行ってきます』『めんどうなことしない うまさ極みレシピ』ほか、フードライター・白央篤司が選ぶ上半期のオススメ3冊

2021/06/12 14:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

ビギナーや料理に疲れた人へ『めんどうなことしない うまさ極みレシピ』ジョーさん。著

『めんどうなことしない うまさ極みレシピ』 KADOKAWA 1350円(税別)2020年3月25日発行

 正直、火を使わずレンジだけで作る料理というのに私は抵抗があった。あまりおいしそうに思えなかったのである。しかしTwitterで流れてきた料理研究家・ジョーさん。の「お肉ゴロゴロボロネーゼ」には何か惹かれるものを感じ、やってみたらこれが……おいしい。ありきたりな表現だが、目からウロコが久々に落ちた。手間が格段に少なく、失敗もしにくい。

 ちょっと種明かしすると、ミートソースは市販のミートボールやハンバーグを使うのだが、それでいてちゃんと料理した気持ちにもなれるし、失敗する可能性はかぎりなく低い。料理ビギナーが自信をつけるためにも、料理慣れしている人がラクに一食済ませるにも、実にすばらしいレシピだと感じ入ったのである。

 本書は、その「お肉ゴロゴロボロネーゼ」が収録されているというので買ってみた。火を使わないほか、計量いらず、包丁いらず、食材があまらないように考えられたレシピなどが計103品ほど掲載されている。序章には基本調味料から常備しておくと便利な食材、持っておくとよい調理器具の説明などもあり、著者ならではの視点も入って、親切きわまりない構成と感じ入った次第。ビギナーはもちろん、日々の料理に疲れている家事担当者にも強くおすすめしたい。

直売所、行ってきます