サイゾーウーマンカルチャー社会DV夫から逃げた私、母も同じだった カルチャー 居住支援の現場から【5】 「親子で同じような道を選んだね」母もまた、父に暴力を振るわれていたーー息子を抱えるシングルマザーの苦悩 2021/06/06 18:00 坂口鈴香(ライター) 社会 母もDV被害者だった ミヨ子さんもまた、若宮さんのように、夫から暴力を受けていた被害者でもあった。若宮さんは、父親のことを今でいう発達障害だったのではないかと考えている。 「少年のような、というより子どもそのもの。父親らしいことをしてくれたことは一度もありませんでした。父と近所の祭りに出かけて、父が私の手をつなぐのをイヤがって、私を迷子にさせてそのまま帰ってしまったことがあります。迎えに行った母に、『オレのほうがトイレに行きたくて大変だった』と言い訳していたそうです。祐樹が小さい頃、父とプラレールをつくって遊んでいたら、祐樹に『触るな!』と怒って泣かせたこともあります。そんな父でしたから、私たちきょうだいは父の日に『ありがとう』と言ったこともありません」 子ども心にも、父親はちょっとおかしいんじゃないかと思っていたという。2つ以上のことを頼むと、頭が整理できなくて怒り出す。 「今思えば、父は母の言うことが理解できず、それでケンカになって、暴力を振るっていたんではないかと思うんです」 ミヨ子さんが離婚しなかったのは、“財産”だったと若宮さんは言う。 「したくもない見合いをして、普通ではない父のことがバレないようにと考えた父の両親の策略で、本人と会うこともなく結婚したからには、せめて財産だけは子どもたちのために残さないといけないと思ったのでしょう」 若宮さんにとってずっと理解不可能だった父親が亡くなったのは、若宮さんが体調不良で入院していたときだった。 次のページ 母からの呪縛はまだ解けない 前のページ123次のページ Yahoo 夫婦親子男女の法律知識 〔2016〕第3版 関連記事 不倫相手と出て行ったDV夫、連れ子と1歳児を残された妻――妹の家庭は「崩壊」していたDV夫とは関わりたくない。でも、子どもに会えなくてつらい気持ちは想像できる【別れた夫にわが子を会わせる?】初めて殴られたときDVだと気づいた。夫から逃げるためにシェルターへ【別れた夫にわが子を会わせる?】「DV加害者は自分が被害者という意識」愛しているはずの人に暴力を振るってしまう心理とは?『女性の死に方』に反映される社会情勢――DVによる死後ミイラ化した女性、家族への「迷惑」を恐れる自死