オンナ万引きGメン日誌

変装万引きGメンVS常習妻! 「あんた、なにやってんのよ!」捕まった女が取った驚がく行動とは?

2021/05/22 16:00
澄江(保安員)
写真ACより

 こんにちは、保安員の澄江です。

 ここのところ新型コロナウイルス感染拡大の予防措置と称して、関東近県では警備や店内販売員(商品の試食や試飲などを勧める人のこと)の出入りを抑制する動きが各商業施設において広がりをみせており、希望通りの稼働日数をいただけないことが増えてきました。度重なる緊急事態宣言の発令により、ほとんどの現場がキャンセルされ、まるで失業してしまったような気分です。体力に自信はあるものの、現在の社会状況や自分の年齢を考えると新たな仕事先を探すことは難しく、わずかな年金を支えに耐え凌ぐほかありません。現役で働けていることだけでもありがたい。そう思いつつ部屋にこもり、衣替えをしながら断捨離をしていると、現場で愛用していた変装セットが入った袋が出てきました。

(わあ、懐かしい)

 袋の中身を取り出してみると、いくつかのメガネや帽子といった定番の変装道具をはじめ、マスク、眼帯、エプロン、割烹着、作業服、飲料メーカーのロゴ入りジャンパーなどが、次々と出てきます。これらを愛用していたのは、かれこれ20年以上も前のことですが、その一つひとつに想い出があり、さまざまな記憶がよみがえってきました。

 今回は、保安員の変装について、お話したいと思います。


 当日の現場は、食品スーパーY。都内ではあるものの、駅からバスで行くしかない住宅街の一角にある小規模チェーンのスーパーマーケットです。小さいながらもレイアウトが悪く、多くの常習者を抱えているお店で、ここ2カ月ほど毎日のように通い詰めた結果、相当数の常習者を捕捉することができました。そのほとんどが地域住民のため、警察を呼ぶことなく商品を買い取らせて、出入禁止の誓約書を差し出させてコトを済ませている状況です。家の近くにある便利な店だから、来ないわけにもいかないのでしょう。その約束を守る人は少なく、1週間もしないうちに素知らぬ顔で再来店してくる人ばかり。長期間にわたって同じ現場に入れば、常習者の把握ができる半面、こちらの顔を常習者に覚えられることにもなるのです。

(あの人、また来てる……)

 この日も、数日前に捕まえた女性が、何食わぬ顔で店内に入ってきました。入店すると、大きく店内を1周して、私の姿を探しているような感じにみえます。一度捕らえた人をあらためて追尾するには、変装するほかありません。早々に化粧室に駆け込んで帽子を被り、眼鏡をかけ、マスクをつけてから売場に戻ります。

(やっぱり、私のことを探しているみたい)

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