オンナ万引きGメン日誌

ママ友の「幼稚園お別れ会」積立金を着服! お菓子やジュース1万円分をカゴ抜けした“万引き母さん”

2021/02/13 16:00
澄江(保安員)
写真ACより

 こんにちは、保安員の澄江です。

 仕事柄、お客さんが手に取る商品を見て回っているため、流行や景況感の変遷を実感できる立場にいます。コロナ禍以降、食品スーパーにおいては和牛肉や天然物のマグロといった高級品を手に取る方は減り、カゴの中はモヤシや玉ねぎ、練り物、プライベートブランドのインスタント食品、酒類などばかりが目立つようになりました。その一方、生鮮食品や菓子の売れ行きは悪いようで、売場に出す商品を少なくしている店も散見されます。棚から手に取れる商品も少なくなっているようで、カート上に商品を満載して持ち出すカゴヌケの手口を用いる被疑者が、いままでより目立って見えるのは気のせいでしょうか。今回は、先日に捕捉した“カゴ抜けママ”について、お話ししたいと思います。

 当日の現場は、東京都下のベッドタウンに位置する大型スーパーE。広大な駐車場を有する平屋建ての大型店舗で、生鮮食品から衣類、日用品のほか、ドラッグコスメやインテリアまで扱う地域の人気店です。かれこれ20年以上、お世話になっているお店なので、店長をはじめ、ほとんどの従業員に顔を知られています。居心地はよく、私にとって、お気に入りの現場の一つといえるでしょう。入館手続きを済ませて、バックヤードで行き交う従業員の方々と挨拶を交わしながら事務所に伺うと、店長さんはお休みで、代わりに特定エリアの保安関係を統括する立場にあるエリアマネージャーが対応してくれました。あまり会うことのない方なので、失礼のないよう緊張していると、大きなため息をついたエリアマネージャーに質問されます。

「店長の休みに合わせて、受け持ちの店を順番に見て回っているんだけど、この店の(商品)ロスが一番大きいんだ。なぜだと思う?」
「お店が広い割に、売場におられる従業員さんの数が少ないから、どうしてもやられてしまうでしょうね。魅力的な商品も多いですし、この辺の地域性も影響しているかと思います」
「そうだよね。この辺は外国人も多いし、やっぱり捕まえる以外の方法は、なかなかないか。じゃあ、今日もお願いします」

 ウンザリした表情で、肩を落とすエリアマネージャーに送り出される形で売場に入り、店内の状況を把握するために軽く店内を一周したところ、商品らしき化粧品の空き箱や除去された防犯タグの残骸など、過去に万引きされた痕跡が複数見つかりました。


(きっと、今日も現れる)

 限りなく確信に近い予感を胸に、死角箇所を中心にして巡回を始めます。長年の経験から断言できますが、こうした予感がした場合、必ず何かが起こるのです。

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